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オオズアリ属

Pheidole


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学 名

Pheidole

原著論文

Westwood, J.O. (1839) An Introduction to the Modern Classification of Insects; founded on the natural habits and corresponding organisation of the different families 2 (part 11): 193-224. London.

解 説

働きアリ階級は顕著な2型を示し,通常中間型によって連続することはない (少なくとも日本産の種では中間型はない)。大型のものを兵アリまたはメジャーワーカー,小型のものを働きアリまたはマイナーワーカーと呼んでいる (この項では“働きアリ”とはマイナーワーカーのことを指す)。兵アリの体長は2.5〜6 mm,働きアリでは2〜4 mm。形態的にはいずれのサブカーストでも前・中胸部が顕著に隆起すること,触角先端3節がこん棒部を形成すること,兵アリで頭部腹面の前縁,大あご挿入部付近に突起をもつことなどによって他属と区別される。熱帯産の種では前胸に顕著な突起を持つ場合もある。
アリ科の中でも最大の属で,記載種だけでも300種以上からなり,最終的には約1000種以上に達する。ほぼ汎世界的に分布するが,熱帯・亜熱帯では種数が多い。Wilson (1976) は地理的な分布の広さ,種数の豊富さ,個体数の豊富さなどから考えて,アリ類の中で,オオアリ属 Camponotus やシリアゲアリ属 Crematogaster とともに最も優占的な属であるとしている。本属の分類は北米の種については Brown (1982), Gregg (1958), Naves (1985) など,南米産については Kusnezov (1951) などがあり,日本産の種については緒方 (1981), Ogata (1982) があるが,他の地域についてはほとんど未整理である。
日本産の種は基本的に土中営巣性であるが,その場合でも石下,倒木下,樹木根ぎわ,塀や壁ぎわを好む。朽木中に営巣することもある。オオズアリやインドオオズアリなどの大きなコロニーをつくる種では,長期間持続するアリ道を形成することが多い (曲田・山根, 1989)。成虫はアブラムシの甘露や花蜜を好み,ハチ蜜などのトラップに集まりやすい。幼虫の餌としては,昆虫類をはじめとして地表性の小動物を採集する。日本には植物種子を主要な餌とする種は分布しない。兵アリと働きアリの分業は顕著で,前者は巣の内外での大きな獲物の解体,餌場やコロニーの防衛をおこない,後者は巣内外での広範な仕事に従事する (矢野・山根, 1990)。ナガオオズアリやヒメオオズアリでは,兵アリは腹部のそのうを使って貯蜜の役割をはたしていると考えられている (Tsuji, 1990c; 飯田, 私信)。また,北米の P. distorta などの兵アリは種子破砕に相当特殊化している (Wilson, 1984)。コロニー成員中の兵アリの比率は種ごとに比較的安定している (数%〜10数%)。兵アリ比の上昇は兵アリの生産を抑制するといわれる。カーストおよびサブカーストの分化には幼虫期にアラタ体から分泌される幼若ホルモンが関与すると考えられる (Ono, 1982)。兵アリも働きアリも卵巣を完全に欠くため,産卵に参加することはない。室内での飼育は比較的容易である (飯田, 1991)。
日本からは9種が知られている。

文 献

  • Wilson, E. O. (1976). Which are the most prevalent ant genera? . Studia Ent., 19, 187-200.
  • Brown, W. L., Jr. (1981). Preliminary contribution toward a revision of ant genus Pheidole (Hymenoptera: Formicidae). Part I. . J. Kansas Ent. Soc., 54, 523-530.
  • Gregg, R. E. (1958). Key to the species of Pheidole (Hymenoptera, Formicidae) in the United States. . J. N. Y. Ent. Soc., 66, 7-48.
  • Naves, M. A. (1985). A monograph of the genus Pheidole in Florida (Hymenoptera: Formicidae). Insecta Mundi,, 1, 53-90.
  • Kusnezov, N. (1951). El genero Pheidole en la Argentina. . Acta Zool. Lilloana, 12, 5-88.
  • Ogata, K. (1981). Taxonomy and biology of the genus Pheidole of Japan. . Nature and Insects, 16(1), 17-22. .
  • Ogata, K. (1982). Taxonomic study on the ant genus Pheidole Westwood of Japan, with a description of a new species (Hymenoptera, Formicidae). . Kontyu, 50, 189-197.
  • Magata, K. & S. Yamane (1989). Recruitment pattern in a Japanese Myrmicinae ant, Pheidole indica (Hymenoptera, Formicidae). . Jpn. J. Ent. , 57, 448-458. .
  • Yano, M. & Sk. Yamane (1990). Division of larbour between the worker subcastes in Pheidole. . Insectarium, 27, 402-410. .
  • Tsuji, K. (1990c. ). Nutrient storage in the major workers of Pheidole ryukyuensis (Hymenoptera, Formicidae). . Appl. Ent. Zool., 25, 283-287.

担当者

緒方一夫・山根正気