2003年英語版に ジャンプします。
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原著論文
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Ruzsky, M. (1912) Mirmekologische zametki. Uchenye Zapiski Kazanskago Vetrinarago Instituta 29: 629-636.
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シノニム
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クサアリ亜属: Onoyama, 1976
クロクサアリ亜属: 山内,1981 |
解 説
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クサアリ (Dendrolasius) 亜属の働きアリは漆黒色で,小あごひげは短く,頭部と胸部の環節部には達しない。日本から5種が知られており,他の亜属の種に一時的社会寄生を行う。働きアリは形態的に酷似しているが,特に腹柄節の形によって区別される。雌アリでの区別は比較的容易である。木の根元等にカートン製の巣を作り,またサンショウ様の強い臭気がある。恒常的な幹蟻道 (trunk trail) を作り,働きアリは巣と樹上や幹にいるアリマキの間を往復する。
日本産ケアリ属のなかで、フシボソクサアリ,クロクサアリ,モリシタケアリ,クサアリモドキ,テラニシケアリの5種が本亜属に含まれる。これら日本産5種の和名と学名の対応関係や、各種の分類学的な地位には少なからず混乱が見られる。画像データベース 2003(アリ類データベース作成グループ, 2003a)や図鑑(アリ類データベース作成グループ, 2003b; Japanese Ant Database Group 2003)では、検索と解説(日本蟻類研究会編, 1991)からみるとフシボソクサアリとクロクサアリの2種について学名の変更がなされていた。ところがこの後、近年のRadchenko(2005)やMaruyama(2005)の研究の発表によって、再びクサアリモドキを除く5種中4種の学名に変更が生じるという事態になり、和名と学名との対応関係が非常にわかりにくくなっている。これらの事情はすでに丸山(2005)が解説しているが、それと併せて詳細は各種の解説を参照されたい。
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文 献
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Ruzsky, M. (1912). Mirmekologische zametki. Uchenye Zapiski Kazanskago Vetrinarago Instituta 29: 629-636.
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Onoyama, K. (1976). A preliminary study of the ant fauna of Okinawa-Ken, with taxonomic notes. (Japan: Hymenoptera: Formicidae). . Ecol. Stud. Nat. Cons. Ryukyu Isl., 2, 121-141.
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Yamauchi, K. (1981). Taxonomy and ecology of the ant genus Lasius of Japan. . Nature and Insects, 16(3), 9-14.
追加引用文献:
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アリ類データベース作成グループ(2003a)日本産アリ類画像データベース 2003.アリ類データベース作成グループ,仙台.
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アリ類データベース作成グループ(2003b)日本産アリ類全種図鑑. 学研.
- Japanese Ant Database Group(2003)Ants of Japan. Gakken.
- Maruyama, M. (2005) A new synonym in the subgenus Dendrolasius of the genus Lasius (Hymenoptera, Formicidae, Formicinae). Bull. Natn. Sci. Mus. Tokyo, Ser. A, 31: 115-117.
- 丸山宗利 (2005) 日本産クサアリ亜属における最近の学名の変更. 蟻, 27: 25-27.
- 日本蟻類研究会編(1991)日本産アリ類の検索と解説(II)カタアリ亜科,ヤマアリ亜科.
- Radchenko, A. (2005) A review of the ants of the genus Lasius Fabricius, 1804, subgenus Dendrolasius Ruzsky, 1912 (Hymenoptera: Formicidae) from East Palaearctic. Annales Zoologici, 55: 83-94.
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担当者
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吉村正志(2008改訂)、寺山 守・山内克典(〜2003)
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