2003年英語版に ジャンプします。
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原著論文
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Fabricius, J.C. (1804) Systema Piezatorum: 439 pp. Brunsvigae.
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解 説
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体長 2.5〜5 mmの小型から中型のアリで,体色は黄淡色から漆黒色まで見られる。頭部は亜3角形で後縁は直線状か多少ともくぼむ。複眼は発達したものから比較的小さいものまであり,働きアリでも3個の単眼を持つ。頭盾中央部に縦走する額稜が顕著。大あごは7〜12歯を備える。PFは6,4。触角は12節で,触角挿入部は頭盾後縁部の近くに位置する。触角第3〜7節の各節は8〜12節の各節よりも短い。側方から見て胸部背面は 前・中胸背部と前伸腹節背部の2つの凸部からなり,前伸腹節背面の凸部は前・中胸背面のそれよりも一段と下位に位置する。前伸腹節の気門はほぼ円形。前・中胸背には軟毛や剛毛が不規則に乱立する。ケアリ (Lasius) 亜属,クサアリ (Dendrolasius) 亜属,アメイロケアリ (Chthonolasius) 亜属,キイロケアリ (Cautolasius) 亜属,および日本には分布しないがAustrolasius亜属の5亜属約80種からなる。
本属は旧北区と新北区に広く分布し,裸地から森林にかけてごく普通に見られるアリである。多くの種でアブラムシやカイガラムシ類が出す甘露を吸汁し,またこれらと強い共生関係を持つものも多い。顕著なアリ道を作ることも知られている。
日本産の本属に関しては,Wilson (1955) によって11種が記録された後に,Yamauchi (1978) や Yamauchi & Hayashida (1968, 1970) によって4亜属16種が明らかとなった。また分布,営巣場所,結婚飛行等の生態に関するものとして,Yamauchi (1980) や山内 (1981),Yamauchi et al. (1986) がある。
日本産の4亜属の概略は以下の通りである:
ケアリ (Lasius s. str.) 亜属。地表活動性でよく目につく。日本から5種が知られている。働きアリでの区別が難しい種も含まれている。
クサアリ (Dendrolasius) 亜属。日本から5種が知られており,他の亜属の種に一時的社会寄生を行う。働きアリは形態的に酷似しているが,特に腹柄節の形によって区別される。雌アリでの区別は比較的容易である。木の根元等にカートン製の巣を作り,またサンショウ様の強い臭気がある。恒常的な幹蟻道 (trunk trail) を作り,働きアリは巣と樹上や幹にいるアリマキの間を往復する。
アメイロケアリ (Chthonolasius) 亜属。日本から3種が知られているが,働きアリでは区別が困難なものがある。他の亜属の種に一時的社会寄生を行う。地中活動性である。
キイロケアリ (Cautolasius) 亜属。日本から3種が知られている。地中活動性でネアブラムシと共生関係にあり,これらの分泌物を主要な餌源としているようである。
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文 献
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- Wilson, E. O. (1955). A monographic revision of the ant genus Lasius. . Bull. Mus. Comp. Zool. Harv., 113, 1-201.
- Yamauchi, K. (1979). Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (Hymenoptera: Formicidae). I. Taxonomy. Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), 6, 147-181.
- Yamauchi, K. & K. Hayashida (1968). Taxonomic studies on the genus Lasius in Hokkaido, with ethological and ecological notes (Formicidae, Hymenoptera). I.The subgenus Dendrolasius or jet black ants. J. Fac. Sci. Hokkaido Univ. Ser. VI, 16, 396-412.
- Yamauchi & Hayashida, 1970
- Yamauchi, K. (1980). Taxonomocal and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (Hymenoptera: Formicidae). II. Geographical distribution, habitat and nest site preferences and nest structure. . In Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), .
- Yamauchi, K. (1981). Taxonomy and ecology of the ant genus Lasius of Japan. . Nature and Insects, 16(3), 9-14.
- Yamauchi, K., K. Ito & N. Suzuki (1986). Observations on the nuptial flights of the ant genus Lasius. . Sci. Rep. Fac. Educ.Gifu Univ. (Nat. Sci.), 10, 1-11.
- Systema Piezatorum: 439 pp. Brunsvigae.
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