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原著論文
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Kuznetsov-Ugamsky, N. N. (1928) Ants of the South Ussuri Region. [In Russian]. Zap. Gos. Geogr. Obshch., 1928: 1-47.
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シノニム |
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Acanthomyops fuliginous subsp. capitatus Kusnetzov-Ugamsky, 1928.
Acanthomyops fuliginosus capitatus: Wilson, 1955.
Lasius morisitai Yamauchi, 1979.
Lasius morisitai: 日本蟻類研究会, 1988, 1991; 寺山&木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, 2003b; Japanese Ant Database Group, 2003.
モリシタケアリ: 山内, 1981.
[以下の文献中のLasius capitatusは別種(フシボソクサアリ参照): Kupyanskaya, 1989; 寺山&木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 2003a, 2003b; Japanese Ant Database Group 2003]. |
解 説 |
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働きアリの体長4.5 mm,漆黒色。腹柄節は,側方から見て逆V字型,本亜属の他の種よりも高く0.6 mm以上の高さ。前方から見て腹柄節の側縁はほぼ平行で背縁中央部はへこむ。雌アリの触角柄節に立毛はなく,短い伏毛でおおわれる。中胸背板はわずかに立毛が見られる程度で明瞭な毛はない。腹柄節は逆V字型。
国内では北海道から四国の低山地から山地までに広く分布するが(丸山,2005:詳細データなし)まれな種である。寄主はトビイロケアリである可能性がある(酒井,2000)。結婚飛行の時期は7月。
本亜属の他の種と同様に、モリシタケアリの学名に関しても少なからず混乱をきたすおそれがある。最も大きな混乱の原因は、Kupianskaya (1989) がフシボソクサアリL. nipponensisを参照しながらこれをL. capitatusと考え、さらに記載情報からL. crispusをL. capitatusのシノニムとしたことである。しかし実際にはKupianskaya (1989)が扱った種自体がL. capitatusではなかったため、これらの取扱いは誤りである(Radchenko, 2005)。
Radchenko(2005)では、L. capitatusとL. morisitaiは別種として扱われていた。しかしその後Maruyama(2005)は、1) 両種の区別点である触角柄節上の毛の状態は標本の状態によるものであること、また2) 頭部に見られる形態的差異も同一のコロニー内の変異と見なせることを示し、両者を同種であるとした。
日本のモリシタケアリには、和名一覧(日本蟻類研究会編, 1988)以来データベース2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003a)まで一貫してLasius morisitaiが使用されてきたが、上記のMaruyama(2005)の措置に従い、今回モリシタケアリL. capitatusと変更されることとなった。しかしL. capitatusという学名は県別分布図(寺山・木原,1994)やデータベース2003年版と図鑑(アリ類データベース作成グループ, 2003b; Japanese Ant Database Group, 2003)などではフシボソクサアリに対して使用されており、和名と学名の対応関係には注意を要する。 |
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分 布
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本州(京都,岐阜,石川,長野,栃木);朝鮮半島,極東ロシア
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文 献
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Yamauchi, K. (1979). Taxonomical and ecological studies on the ant genus Lasius in Japan (Hymenoptera: Formicidae). I. Taxonomy. Sci. Rep. Fac. Educ. Gifu Univ. (Nat. Sci.), 6, 147-181.
追加引用文献:
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アリ類データベース作成グループ(1995)日本産アリ類画像データベース.日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ(1998)日本産アリ類画像データベース.日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ(2003a)日本産アリ類画像データベース 2003.アリ類データベース作成グループ, 仙台.
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アリ類データベース作成グループ(2003b)日本産アリ類全種図鑑. 学研.
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Japanese Ant Database Group(2003)Ants of Japan. Gakken.
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Kupianskaya, A. N. (1989). Ants of the subgenus Dendrolasius Ruzsky, 1912 (Hymenoptera, Formicidae, genus Lasius Fabricius, 1804) of the Far East of the USSR. Ent. Obozr. 68: 779-789. (In Russian with English summary.)
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Maruyama, M. (2005) A new synonym in the subgenus Dendrolasius of the genus Lasius (Hymenoptera, Formicidae, Formicinae). Bull. Natn. Sci. Mus. Tokyo, Ser. A, 31: 115-117.
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丸山宗利 (2005) 日本産クサアリ亜属における最近の学名の変更. 蟻, 27: 25-27.
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日本蟻類研究会編(1988)日本産アリ類和名一覧.
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日本蟻類研究会編(1991)日本産アリ類の検索と解説(II)カタアリ亜科,ヤマアリ亜科.
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Radchenko, A. (2005) A review of the ants of the genus Lasius Fabricius, 1804, subgenus Dendrolasius Ruzsky, 1912 (Hymenoptera: Formicidae) from East Palaearctic. Annales Zoologici, 55: 83-94.
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酒井春彦 (2000) トビイロケアリをくわえるモリシタケアリ.神奈川虫報, 132: 69.
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寺山守・木原章(1994)日本産アリ類県別分布図.日本蟻類研究会.
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担当者
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吉村正志(2008改訂), 寺山 守・山内克典(〜2003)
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