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Temnothorax

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Temnothorax

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Temnothorax


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ムネボソアリ属

Temnothorax


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学 名

Temnothorax

原著論文

Mayr, G. (1861) Die europäischen Formiciden. Nach der analytischen Methode bearbeitet. Wien: C. Gerolds Sohn, 80 pp.

シノニム

Temnothorax Mayr, 1861.
Temnothorax : Bolton, 2003: 緒方ら, 2005.
ムネボソアリ属 : 緒方ら, 2005.
ムネボソアリ属(一部): 寺西, 1929.
イエアリ属(一部): 寺西, 1944.
Leptothorax (一部) : 日本蟻類研究会, 1988, 1992; 寺山守&木原章, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, 2003b; Japanese Ant Database Group, 2003.

解 説

 働きアリは小型で単型のアリ。大あごにはふつう5歯,まれに6歯を備え,基部に近づくにつれて小さくなる。PFは5, 3。頭盾の中央部は広く,額葉の間に広くのびる。頭盾の前縁中央部は,一様に凸状のものから強く丸い突出部をもつものまで変化するが、大あごへと覆い被さる顕著な突起にはならない。頭盾中央部に隆起縁を持つ。額隆起縁は短く,まれに狭い額葉の終端から後方へのびるかすかで細い線になっている。触角は11または12節で,先端の3節は顕著なこん棒部を形成する。複眼は中ないし大型で,頭部側面の1/2のところか少し前方に位置する。後胸葉は丸く,ふつう小さい。前胸の前側部の角は,丸いものから歯状になるものまである。後胸溝はないものから深く刻印されるものまで変化する。前伸腹節にはふつう1対の歯か刺を備えるが,まれに欠くこともある。体毛はふつう短く太く鈍い毛であるが,ときには欠いたり長い場合がある。雄アリでは大あごの咀嚼縁に3から5の歯を備え、触角は12節または13節で先端3節から4節が棍棒部を形成する。触角節数と頭盾の隆起縁、そして雄アリの形態の差でタカネムネボソアリ属と見分けることが出来る。

 シワアリ属にも似るが,以下の点で区別される (Bolton, 1982): 1) 小あごひげは5節 (シワアリ属では4または3節), 2) 頭盾の側面部は触角挿入部の前で狭い隆起線または盾状の壁となって隆起することはない (隆起する),3) 大あごの歯は5個,まれに6個で基部へ向かうにつれて小さくなる (ふつう7歯で先端の3歯が大きい)。
 世界で約370種が記載されている大きな属である。全世界的に分布するが,多くは旧北区と新北区に分布する。旧北区のものは西ヨーロッパのものを除き,分類は整理されていない。社会寄生や奴隷狩りをする種が知られている (Alloway, 1980)。
 Bolton (2003)により、従来ムネボソアリ属LeptothoraxとされていたものがLeptothorax, Temnothorax, そしてNesomyrmexという3つの属に分割再編された。日本の種ではタカネムネボソアリLeptothorax acervorum以外のすべての種がTemnothorax属に移動された。この措置に伴い、ムネボソアリ属を担名していたムネボソアリもTemnothorax属に移ったため、緒方ら(2005)は和名のムネボソアリ属をTemnothoraxに対して使うこととし、新しいLeptothorax属には「タカネムネボソアリ属」という和名を用いることを提案した。本改訂ではこの提案に従ってムネボソアリ属Temnothoraとする。
 本属に含まれる国内の種を追ってみると、和名一覧(日本蟻類研究会, 1988) では4種が掲載され、検索と解説(III)では学名未決定種8種を加えた12種が掲載されていた。県別分布図(寺山&木原, 1994)ではこれに学名未決定種キノムラヤドリムネボソアリ(現T. kinomurai)一種が加わり、データベース1995年版と1998年版(アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998)には13種が掲載されていた。それ以降寺山(1998)がボーニンムネボソアリ(現シワムネボソアリT. santra)を報告したため、その時点で日本産種は学名未決定種10種を含む14種だったことになる。その後Terayama & Onoyama (1999) はこの学名未決定10種のすべてについて新種記載を行ない、データベース2003年版には14種すべてが学名決定種として掲載された。今回の改訂では上記に述べたBolton(2003)の措置に従うため、これら14種すべての属名が変更されることになる。


文 献

  • Bolton, B. (1982). Afrotropical species of the myrmicine ant genera Cardiocondyla, Leptothorax, Melissotarsus, Messor and Cataulacus (Formicidae). . Bull. Br. Mus. Nat. Hist. (Ent.), 45, 307-370.
  • Alloway, T. M. (1980). Origins of slavery in leptothoracine ants. Am. Nat., 115, 247-261.
  • Myrmecological Society of Japan, Editorial Committee (Ed.). (1988). A list of the ants of Japan with common Japanese names. The Myrmecological Society of Japan, Tokyo.
  • Formicina austriaca. Beschreibung der bisher im 嘖terreichischen Kaiserstaate aufgefundenen Ameisen nebst Hinzuf殀ung jener in Deutschland, in der Schweiz und in Italien vorkommenden Ameisen. Verhandlungen des Zoologisch-Botanischen Vereins in Wien 5: 273-478.
  • Teranishi, C. (1929a. ). Japanese ants, their behavior and distribution (I). . Zool. Mag. Tokyo, 41, 239-251. .
  • 寺西 暢 (1944). 日本産二節蟻亜科に就きて(大正九年東京農業大学卒業論文).30 pp. 戸沢信義編・発行.

    追加引用文献:
  • アリ類データベース作成グループ(1995)日本産アリ類画像データベース.日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ(1998)日本産アリ類画像データベース.日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ(2003a)日本産アリ類画像データベース 2003.アリ類データベース作成グループ, 仙台.
  • アリ類データベース作成グループ(2003b)日本産アリ類全種図鑑. 学研.
  • Bolton, B. (2003) Synopsis and classification of Formicidae. Memoirs of the American Entomological Institute 71: 1-370.
  • Japanese Ant Database Group(2003)Ants of Japan. Gakken
  • 日本蟻類研究会編(1992)日本産アリ類の検索と解説(III)フタフシアリ亜科,ムカシアリ亜科(補追).
  • 緒方一夫, 久保田政雄, 吉村正志, 久保木謙 & 細石真吾(2005)アリ類の分類体系 -ボルトンによる最近の変更より-. 蟻, 27: 13-24.
  • 寺山守(1998)”日本産蟻類の検索と解説I、II、III”以降の学名変更種一覧. 蟻, 22: 13-18.
  • 寺山守・木原章(1994)日本産アリ類県別分布図.日本蟻類研究会.
  • Terayama, M. & Onoyama, K. (1999). The ant genus Leptothorax Mayr (Hymenoptera: Formicidae) in Japan. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan. 1: 71-97.
担当者

吉村正志(2008改訂)、寺山 守・小野山敬一・森下正明(〜2003)