ヤドリムネボソアリ

学　名

Temnothorax bikara

Terayama, M. & K. Onoyama (1999) The ant genus Leptothorax Mayr (Hymenoptera; Formicidae) in Japan. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan 1: 71-97.

Leptothorax bikara Terayama & Onoyama, 1999.
Leptothorax bikara : アリ類データベース作成グループ, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003.
Temnothorax bikara : Bolton, 2003; 寺山, 2004.
ヤドリムネボソアリ: 日本蟻類研究会, 1992.
Leptothorax sp. 13 : 日本蟻類研究会, 1992; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998.

　体長2 mm。体色は黒から黒褐色。触角柄節は頭部後縁にわずかに達しない。胸部背縁は平らで，特に前伸腹節背面は平たい。後胸溝は弱く刻みつけられる。前伸腹節刺は長く針状。腹柄節柄部は短く，側方から見て上縁と下縁はほぼ平行で，前方で細まらない。丘部はやや狭い逆Ｕ字状。前方から見て丘部背縁は直線状，両側縁はほぼ平行で背側縁は角ばる。後腹柄節は背方から見て横長の台形状で，後方に向かうにつれて幅が狭まる。
本種はムネボソアリ属の他種に社会寄生を行なうようで，ハリナガムネボソアリの巣中から働きアリ26個体が得られた (木野村，未発表)。また，本種の雌アリと思われる有翅個体が，ハヤシムネボソアリの巣中からも得られている (木野村, 未発表)。ハリナガムネボソアリやハヤシムネボソアリとは本種の胸部背縁は平らであること，腹柄節の柄部が，側方から見て前方でも細まらないこと，腹柄節丘部の背縁が前方から見て直線状であること，後腹柄節は背縁から見て顕著に横長で後方に向かうにつれて幅が狭まることなどによって明瞭に区別される。
　本種は検索と解説(日本蟻類研究会, 1992)で学名未決定種ヤドリムネボソアリLeptothorax sp. 13として掲載され、データベース1998年版(アリ類データベース作成グループ, 1998)まではそのまま学名未決定種として扱われていたが、その後Terayama & Onoyama(1999)によりLeptothorax bikaraとして記載された。今回の改訂では、Bolton(2003)による分類体系の改訂に従い本種はTemnothorax属に配置され、ヤドリムネボソアリTemnothorax bikaraとなった。ムネボソアリ属の分類学的な改訂については属のページおよび緒方ら(緒方ら, 2005)に解説されている。

本州（岐阜県［木野村恭一］）