2003年英語版に ジャンプします。
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解 説
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働きアリや雌アリの体形は一般に細長く円筒状。働きアリは単型でごくまれに多型の種がある。外皮は硬く頑丈。腹柄は1節で,柄部がほとんど発達しない。腹部第1節と2節とは球面的に接合し,第2節の関節部が多少くびれ(アギトアリ類を除く),またこの関節部には発音器があって一部の種では人の耳にもよく聞こえる警戒音を発する。腹端には機能的な刺針があり,刺されると鋭い痛みを与えるような種もある。各脚にはくし状の脛節刺があるが,一部の小形種では中・後脚にこれを欠く。アリ類では関節部の屈曲運動を誘導,停止,受容する構造が広く見られるが,ハリアリ類では腹部の下前方への屈曲を制限する腹部第1節腹板の構造,上方への反転を抑制する大形の腹柄節が発達しているものが多い。
雌アリは働きアリに比べ,あまり大形にはならない。原則として雌アリ,雄アリともに有翅で,前翅の肘室(ちゅうしつ)は2室。一般に日本産の種では夏の終わり頃に羽アリが羽化するものが多く,羽化後はあまり長く巣内にとどまらない。少数の属では働きアリ型の無翅の雌アリ(職型雌,ergatogyne)や雄アリ(職型雄,ergatomorphic male)を生じ,また雌アリを欠く種もある。
2003年にBoltonが発表した新しい分類体系によると、それまでのハリアリ亜科は6つの亜科に分割されている(Bolton, 2003)。緒方ら(2005)の解説にあるように、日本産アリ類に限定すればこれまでのハリアリ亜科が3つに分割され、ハリアリ亜科に含まれていたノコギリハリアリ属Amblyoponeがノコギリハリアリ亜科Amblyoponinaeに、カギバラアリ属Proceratiumとダルマアリ属Discothyrea、そしてハナナガアリ属Probolomyrmexがカギバラアリ亜科Proceratiinaeにそれぞれ新たに配置されることとなった。
本データベースでは、2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003)で12属41種をハリアリ亜科として扱っていたが、今回の改訂によってハリアリ亜科に含まれるのは8属29種となった。本亜科の中で、ハリアリ族Poneriniは依然として整理の必要とされるグループである。
熱帯雨林地帯に多くの種が分布し,主に肉食性で終令幼虫は通常繭をつくる。国内では多数の働きアリを持った巨大なコロニーをつくるような種は少ない。日本産の種は地中で活動するものが多く,ツルグレン装置などでよく採集される。
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文献 |
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アリ類データベース作成グループ (2003) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
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Bolton, B. (2003) Synopsis and classification of Formicidae. Memoirs of the American Entomological Institute: 1-370.
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緒方 一夫, 久保田 政雄, 吉村 正志, 久保木 謙 & 細石 真吾 (2005) アリ類の分類体系 -ボルトンによる最近の変更より-. 蟻, 27: 13-24.
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担当者 |
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吉村正志(2008改訂)、久保田政雄(〜2003) |
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