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オオアリ属

Camponotus


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学 名

Camponotus

原著論文

Mayr, G. (1861) Die europäischen Formiciden. Nach der analytischen Methode bearbeitet. C. Gerolds Sohn, Wien.

 

シノニム
 

Camponotus Mayr, 1861.
オオアリ属 : 寺西, 1929.

解 説

 ヤマアリ亜科Formicinaeオオアリ族Camponotiniの中の1属。体長2.5 mmから20 mmを越すものまで様々なサイズの種を含む属であるが,4 mm以上の中〜大型種が多く,地上徘徊性のものも多いため目につきやすい。触角は12節で,複眼が発達している。働きアリに単眼はない。触角挿入部は頭盾後縁部から離れた位置にある。PFは6,4。日本産の種では胸部背縁は側方から見て前胸から前伸腹節にかけて弧をえがく。腹柄節は厚い鱗片状で,刺や歯状突起を持たない。働きアリは同種内でサイズの変異が大きく,小型と大型の個体を比較すると,形態が異なる場合が多い。特に大きさの差が著しい場合,大型のものを兵アリと呼ぶこともある。
 これまでに亜種まであわせると1500種以上が記載されており(Bolton et al., 2006),世界の熱帯から亜寒帯まで広く分布する、アリの中で最も大きな属のひとつである。営巣場所は土中性のものから樹上性のものまで様々なものが見られる。本属では地理的変異や個体変異の幅が大きい種が多いにもかかわらず,これらの研究がほとんど成されていないことから分類は著しく混乱した状態にある。Emeryの目録 (1925) には1300以上の種・亜種・変種が掲げられているが,それらのほとんどは未整理のままで今日に至っている。また多くの亜属が設定されている。南北アメリカ産のColobopsisは独立した属として取り扱われる場合もあったが (Brown, 1973; Snelling, 1981; Ho¨lldobler & Wilson, 1990など)、Bolton(1995)のカタログ発表以降はオオアリ属の1亜属に落ち着いている。現在日本では26種が知られ,それらが6亜属に区分されている。
 和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)ではオオアリ亜属 Camponotus s. str. (「狭義の」という意味)(学名未決定種1種を含む6種)、アメイロオオアリ亜属 Tanaemyrmex(学名未決定種1種を含む2種)、ミカドオオアリ亜属 Paramyrmamblys(学名未決定種1種を含む2種)、クサオオアリ亜属 Myrmentoma(2種)、ウメマツオオアリ亜属 Myrmamblys(4種)、ヒラズオオアリ亜属 Colobopsis(学名未決定種1種を含む2種)が掲載されたほか、アカヨツボシオオアリ(現C. albosparsus)とユミセオオアリ(現C. kaguya)が亜属不明種の学名未決定種として挙げられた(アメイロオオアリ亜属参照)。
 これ以降Terayama & Satoh(1990)、検索と解説(II)(日本蟻類研究会, 1991)、Terayama(1991)、日本産アリ類県別分布図(寺山 & 木原, 1994)、データベース1995年版(アリ類データベース作成グループ, 1995)、寺山(1998)、データベース1998年版(アリ類データベース作成グループ, 1998)、Yamane & Terayama(1999)を経て種の新記録、新種記載や学名の変更、亜属間の種の移動など、様々な変更があった。その詳細は各亜属および各種のページを参照されたい。1999年にTerayamaによってそれまでに生じていた混乱も一応整理されたが(Terayama, 1999)、データベース2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003)では1998年版の体系を引き継いでしまったため、現在の体系と多くの不整合が生じていた。本改訂では以下に挙げる亜属と種の体系に従って、現在の体系に合うように修正をおこなった。

[日本産オオアリ属の亜属と種の一覧(50音順)]


アメイロオオアリ亜属 Camponotus (Tanaemyrmex)
 アカヨツボシオオアリCamponotus albosparsus、アメイロオオアリC. devestivus、ケブカアメイロオオアリC. monju、ミヤコオオアリC. friedae、ユミセオオアリC. kaguya

オオアリ亜属 Camponotus (Camponotus)
 オキナワクロオオアリCamponotus sp. 6、カラフトクロオオアリC. sachalinensis、クロオオアリC. japonicus、ケブカクロオアリC. yessensis、ニシムネアカオオアリC. hemichlaena、ムネアカオオアリC. obscuripes


ウメマツオオアリ亜属 Camponotus (Myrmamblys)
 イトウオオアリCamponotus itoi、ウメマツオオアリC. vitiosus、ウスキオオアリC. yambaru、オガサワラオオアリC. ogasawarensis、ダイトウオオアリC. daitoensis、ナワヨツボシオオアリC. nawai、ホソウメマツオオアリC. bishamon、ヤマヨツボシオオアリC. yamaokai


クサオオアリ亜属Camponotus (Myrmentoma)
 ケブカツヤオオアリCamponotus nipponensis、クサオオアリC. keihitoi、ヨツボシオオアリC. quadrinotatus


ヒラズオオアリ亜属 Camponotus (Colobopsis)
 アカヒラズオオアリCamponotus shohki、ヒラズオオアリC. nipponicus


ミカドオオアリ亜属 Camponotus (Paramyrmamblys)
ツヤミカドオオアリCamponotus amamianusミカドオオアリC. kiusiuensis

文 献
  • Emery, C. (1925). Hymenoptera, Formicidae, Formicinae. . In M. P. Wytsman, ed., ""Genera Insectorum"", fasc. , 183, 1-302.
  • Brown, W. L., Jr. (1973). A comparison of the Hylean and Congo-West African rain forest ant faunas. InIn B. J. Meggers, E. S. Ayensu & W. D. Duckworth, eds., "Tropical Forest Ecosystems in Africa and South America: A Comparative Review" (pp. 161-185). Smithsonian Institution Press, Washington.
  • Snelling, R. R. (1981). Systematics of social Hymenoptera. . In H.R. Hermann ed.Social Insects, II, 369-453.
  • Hölldobler, B. & E. O. Wilson (1990). The ants. . , 732.
  • Mayr, G. (1861) Die europäischen Formiciden. Nach der analytischen Methode bearbeitet. C. Gerolds Sohn, Wien.

    追加引用文献:
  • アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (2003) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
  • Bolton, B. (1995) A new general catalogue of the ants of the world. Harvard University Press, Cambridge, Mass.
  • Bolton, B., Alpert, G., Ward, P. S. & Naskrecki, P. (2006) Bolton's Catalogue of Ants of the World: 1758-2005. Harvard University Press, Cambridge, Massachusetts.
  • 日本蟻類研究会  編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
  • 日本蟻類研究会  編 (1991) 日本産アリ類の検索と解説(II)カタアリ亜科,ヤマアリ亜科. 日本蟻類研究会, 東京.
  • Terayama, M. (1991) The subgenus Paramyrmamblys of the genus Camponotus (Insecta: Hymenoptera: Formicidae) from Japan, with a description of a new species. Bulletin of the Biogeographical Society of Japan, 46: 165-169.
  • 寺山 守 (1998) "日本産蟻類の検索と解説I、II、III" 以降の学名変更種一覧. 蟻, 22: 13-18.
  • Terayama, M. (1999) The ant genus Camponotus Mayr (Hymenoptera: Formicidae) in Japan. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 1: 25-48.
  • 寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.
  • Terayama, M. & Satoh, T. (1990) A new species of the genus Camponotus from Japan, with notes on two known forms of the subgenus Myrmamblys (Hymenoptera, Formicidae). Japanese Journal of Entomology, 58: 405-414.
  • Yamane, Sk. & Terayama, M. (1999) A new species of Pristomyrmex Mayr from Japan, and a proposal of a new synonym of species in the genus Camponotus Mayr (Hymenoptera: Formicidae). Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 1: 17-24.
担当者

吉村正志(2008改訂)、寺山 守・森下正明・小野山敬一(〜2003)