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ハダカアリ属

Cardiocondyla


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学 名

Cardiocondyla

原著論文

Emery, C. (1869) Enumerazione dei Formicidi che rinvengonsi nei contorni di Napoli. Annali dell'Accademia degli Aspiranti Naturalisti (2) 2: 1-26.

解 説

働きアリの体長1.5〜3.5 mmの小型のアリ。頭部は長方形で丸みのある後縁をもつ。大あごは3角形で通常そしゃく縁に5歯を備える。頭盾は前方に突出し大あごの一部におおいかぶさる。複眼は比較的発達する。触角は12節 (一部の種で11節) からなり,末端の3節はこん棒節を形成する。PF=5, 3。胸部背面は側方から見て水平。前伸腹節は突起を欠くものから刺状の突起をもつものまである。腹柄節は細長いものが多く,柄部がある。また腹柄節下部突起をもつ。後腹柄節は側方から見て平らで,背方から見て幅広く,長さよりも幅が大きく,また腹柄節の幅よりも幅が広い。頭部,胸部の背面に体毛を欠く。脚は短く中脚,後脚は脛節刺を欠く。
大部分の種は裸地や草地等の開けた環境の土中に営巣するが,樹木の朽ちた小枝内,あるいは枯れ草の茎内に営巣するものもある。雄アリにおいて,無翅雄だけの種と,有翅と無翅の2型がある種が知られている。

旧世界の熱帯,亜熱帯を中心に約70種が分布しており,一部は旧北区にも見られる (Bolton, 1982)。中には北米や太平洋の島々に人為的に分布を拡大した種,例えば wroughtoniiemeryi も見られる。新世界から記載された種もあるが,これらも旧世界からの移入種である可能性が高い。
 日本国内に目を移すと、日本産アリ類和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)では3種が掲載され、その後日本産アリ類の検索と解説(III)(日本蟻類研究会, 1992)では新たに2種が加わり、さらに寺山・久保田(2002)によりイオウハダカアリ1種が加えられたことで日本産アリ類画像データベース2003(アリ類データベース作成グループ, 2003)では計6種が掲載されていた。
 Terayama (1999)はそれまで学名未決定だった種のうち、ヒヤケハダカアリ、ヒメハダカアリ、そしてウスキイロハダカアリの3種について、それぞれC. kagutsuchiC. tsukuyomiC. yamauchiiとして記載した。しかしその後Seifert(2003)が発表した研究によって、この3種のうちヒヤケハダカアリはハダカアリと同種であると同定され(ハダカアリ参照)、ウスキイロハダカアリC. yamauchiiC. wroughtniiのシノニムとなった。ただし、これと同時にそれまでC. wroughtonii とされていたキイロハダカアリはC. obscuriorの誤同定であるとされたことから、ウスキイロハダカアリとキイロハダカアリの和名と学名の対応関係に注意が必要である。加えて、ヒメハダカアリC. tsukuyomiC. minutior のシノニムとなった(ヒメハダカアリ参照)。この結果、この時点では日本産ハダカアリ属は2003年版のデータベースから1種減った計5種となっている。

 いずれも暖帯以南に見られる。


文 献

  • Enumerazione dei Formicidi che rinvengonsi nei contorni di Napoli. Annali dell'Accademia degli Aspiranti Naturalisti (2) 2: 1-26.
  • Bolton, B. (1982). Afrotropical species of the myrmicine ant genera Cardiocondyla, Leptothorax, Melissotarsus, Messor and Cataulacus (Formicidae). . Bull. Br. Mus. Nat. Hist. (Ent.), 45, 307-370.

    追加引用文献:

  • アリ類データベース作成グループ(2003)日本産アリ類画像データベース 2003.アリ類データベース作成グループ, 仙台.

  • 日本蟻類研究会編(1988)日本産アリ類和名一覧.

  • 日本蟻類研究会編(1992)日本産アリ類の検索と解説(III)フタフシアリ亜科,ムカシアリ亜科(補追).

  • Seifert, B. (2003) The ant genus Cardiocondyla (Insecta: Hymenoptera: Formicidae) - a taxonomic revision of the C. elegans, C. bulgarica, C. batesii, C. nuda, C. shuchardi, C. stambuloffii, C. wroughtonii, C. emeryi, and C. minutior species groups. Annalen des Naturhistorisches Museums in Wien, 104: 203-338.

  • Terayama, M. (1999) Taxonomic studies of the Japanese Formicidae, Part 6. Genus Cardiocondyla Emery. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 1: 99-107.

  • 寺山守・久保田敏(2002)東京都のアリ. 蟻, 26: 1-32.

担当者

吉村正志(2008改訂)、寺山 守・山内克典・森下正明(〜2003)