2003年英語版に ジャンプします。
|
ヒメハダカアリ
|
Cardiocondyla minutior |
学 名
|
Cardiocondyla minutior
|
原著論文
|
|
Forel, A. (1899) Heterogyna. (Formicidae.) Fauna Hawaiiensis, 1: 116-122.
|
シノニム |
|
ヒメハダカアリ: 日本蟻類研究会編, 1988.
Cardiocondyla sp. 3: 日本蟻類研究会, 1988, 1992; 寺山守&木原章, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998.
Cardiocondyla tsukuyomi Terayama, 1999.
Cardiocondyla tsukuyomi : アリ類データベース作成グループ, 2003a, 2003b; Japanese Ant Database Group, 2003. |
解 説 |
|
働きアリの体長1.5 mm。体色は黒褐色。頭部は長方形で長さは幅の1.2倍。頭部後縁ほぼ水平,頭盾前縁は弧をえがく。複眼は弱く突出する。大あごに5歯を備える。触角柄節は短く頭部後縁に達さない。前中胸背はほぼ水平,後胸溝は認められない。前伸腹節は弱く弧をえがき,3角形の前伸腹節突起がある。腹柄節の柄部は短い。頭部,胸部,腹柄節,後腹柄節は鮫肌状,腹部は平滑。染色体数は2n=30 (今井・山内, 未発表)。雄アリは有翅と無翅の2型がある。職型雄は他の雄を攻撃して殺す行動が見られる (Yamauchi & Kinomura, 1993)。
本種はハダカアリに似るが,より発達した前伸腹節刺と柄部の短い腹柄節によって容易に区別される。
本種は和名一覧(日本蟻類研究会編, 1988)にてヒメハダカアリC. sp. 3として報告され、検索と解説(III)(日本蟻類研究会, 1992)や県別分布図(寺山守&木原章, 1994)、そしてデータベース1995年版および1998年版(アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998)にはそのままヒメハダカアリC. sp. 3として掲載されている。その後Terayama (1999)は本種をC. tsukuyomiとして記載し、これを受けてデータベース2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003a)や図鑑(アリ類データベース作成グループ, 2003b; Japanese Ant Database Group, 2003)にはヒメハダカアリC. tsukuyomiとして掲載された。
しかしSeifert (2003)は、沖縄個体群は頭部が他の地域の個体群よりも短い(頭部計測値のインデックスでは沖縄以外の個体群との間に有意な差がみられる)ものの、他の部分の計測値や形態がタイプを含めて一致するという理由からC. tsukuyomiを、新熱帯区から東洋区まで広く分布する放浪種C. minutiorのシノニムとして扱った。Seifert (2003)はこのなかで、Trindl&Heinzeからの私信ながらmDNAによる解析結果でもこの結論が支持されていることを示している。
今回の改訂ではこのSeifert (2003)の措置に従い、ヒメハダカアリの学名をC. minutiorへと変更する。
|
|
|
文 献
|
|
-
Terayama, M. (1999). Taxonomic studies of the Japanese Formicidae, Part 6. Genus Cardiocondyla Emery. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan 1: 99-107.
-
Yamauchi, K. & K. Kinomura (1993). Lethal fighting and reproductive strategies of dimorphic males in Cardiocondyla ants (Hymenoptera: Formicidae). . In T. Inoue & Sk. Yamane, eds., ""Evolution of Insect Societies"", 373-402.
追加引用文献:
-
アリ類データベース作成グループ(1995)日本産アリ類画像データベース.日本蟻類研究会, 東京.
-
アリ類データベース作成グループ(1998)日本産アリ類画像データベース.日本蟻類研究会, 東京.
-
アリ類データベース作成グループ(2003a)日本産アリ類画像データベース 2003.アリ類データベース作成グループ, 仙台.
-
アリ類データベース作成グループ(2003b)日本産アリ類全種図鑑. 学研.
-
Japanese Ant Database Group(2003)Ants of Japan. Gakken.
-
日本蟻類研究会編(1988)日本産アリ類和名一覧.
-
日本蟻類研究会編(1992)日本産アリ類の検索と解説(III)フタフシアリ亜科,ムカシアリ亜科(補追).
-
Seifert, B. (2003) The ant genus Cardiocondyla (Insecta: Hymenoptera: Formicidae) - a taxonomic revision of the C. elegans, C. bulgarica, C. batesii, C. nuda, C. shuchardi, C. stambuloffii, C. wroughtonii, C. emeryi, and C. minutior species groups. Annalen des Naturhistorisches Museums in Wien, 104: 203-338.
-
Terayama, M. (1999) Taxonomic studies of the Japanese Formicidae, Part 6. Genus Cardiocondyla Emery. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 1: 99-107.
-
寺山守・木原章(1994)日本産アリ類県別分布図.日本蟻類研究会.
|
担当者
|
|
吉村正志(2008改訂)、寺山 守・山内克典・森下正明(〜2003)
|
|