2003年英語版に ジャンプします。
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原著論文
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Latreille, P. A. (1804) Tableau méthodique des insectes: Pp. 129-200 in: Société de Naturalistes et d'Agriculteurs. Nouveau dictionnaire d'histoire naturelle. Tome 24. Paris: Déterville, 84 + 85 + 238 + 18 + 34 pp.
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シノニム
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Myrmica Latreille, 1804.
Myrmica : 日本蟻類研究会, 1988, 1992; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003.
クシケアリ属 : 寺西, 1929.
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解 説
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働きアリは中型の大きさの単型のアリ。体の大きさには同一巣内でもかなりの変異が見られる。頭部は背面から見てほぼ卵型。大あごは逆三角形で,そしゃく縁の歯は6〜10個で先端部から基部の方へ小さくなる。PFは6, 4。額隆起縁は短く後方へ伸びない。触角は12節。べん節の先端部は3〜4節のこん棒部を形成するが,その程度は様々である。柄節はふつう頭部後縁を越える。その基部近くは,強く曲がったり縁どられたりすることが多い。複眼は中程度の大きさで,頭部中央よりも前方に位置する。前中胸縫合線は背部で不明瞭。後胸溝は多少とも刻印される。前伸腹節には1対の刺を備える。中・後脚の脛節刺はふつう1本で,多くの場合櫛歯状の部分があるが,ほとんど単純の場合もあり,また脛節刺を欠く場合もある。腹柄節下部突起は小さく,前下方に位置する。Bolton (1988)はクシケアリ属を再検討し,寄生性であることから独立の属とされていたParamyrmica,Sommimyrma,Sifoliniaをクシケアリ属のシノニムとした。クシケアリ属には同属他種への同居寄生が15種知られており,働きアリをもたない場合が多い。
本属は日本も含めて分類学的整理がまだ十分ではないが,Boltonら(2006)によると現在世界で約180種が分布している。
和名一覧(日本蟻類研究会編, 1988)では未確定種数種がいることを示唆しながら学名未決定種2種を含む6種が挙げられた。検索と解説(III)(日本蟻類研究会編, 1992)ではこれにカドクシケアリMyrmica sp. 7とキタクシケアリM. sp. 8の学名未決定種2種を追加し,計8種となった。その後2002年に学名未決定種のうちの2種、オオクシケアリ(現オモビロクシケアリM.luteola)とツボクシケアリ(現M.taediosa)の学名が決定され(各種のページを参照)、2006年にさらに1種M. onoyamaiが記載されたことから、現在のところ日本産クシケアリ属は学名未決定種2種を含む計9種ということになる。
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文 献
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- Bolton, B. (1988). A new socially parasitic Myrmica, with a reassessment of the genus (Hymenoptera: Formicidae). Syst. Ent., 13, 1-11.
- Kutter, H. (1977). Hymenoptera, Formicidae. . Insecta Helv. Fauna, 6, 1-298. .
- Agosti, D. & C. A. Collingwood (1987). A provisional list of the Balkan ants (Hym. Formicidae) with a key to the worker caste. II. Key to the worker caste, including the European species without the Iberian. Mitt. Schweiz. Ent. Ges., 60, 261-293.
- Collingwood, C. A. (1970). Formicidae (Hymenoptera: Aculeata) from Nepal. . Khumbu Himal, 3, 371-388.
- Kupianskaya, A. N. (1986). Ants (Hymenoptera, Formicidae) of the group Myrmica lobicornis Nylander from the Far East. InIn P. A. Ler, ed., "Systematics and ecology of insects from the Far East" (pp. 83-90). Akademiya Nauk SSSR, Vladivostock.
- Allred, D. M. (1982). Ants of Utah. Great Basin Naturalist, 42, 415-511.
- MacKay, W., D. Lowrie, A. Fisher, E. MacKay, F. Barnes & D. Lowrie (1988). The ants of Los Alamos County, New Mexico (Hymenoptera: Formicidae). . In J. C. Tragered.""Advances in Myrmecology"", 79-131.
追加引用文献:
- アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
- アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
- アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
- アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
- Bolton, B., Alpert, G., Ward, S. P. & Neskrecki, P. (2006) Bolton's Catalogue of Ants of the World: 1758-2005. Harvard University Press, Cambridge, Massachusetts.
- Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.
- 日本蟻類研究会 編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
- 日本蟻類研究会 編 (1992) 日本産アリ類の検索と解説(III)フタフシアリ亜科,ムカシアリ亜科(補追). 日本蟻類研究会, 東京.
- 寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.
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担当者
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吉村正志(2008改訂)、小野山敬一・吉村正志・園部力雄(〜2003)
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