シワクシケアリ

学　名

Myrmica kotokui

Forel, A. (1911) Die Ameisen des K. Zoologischen Museums in M殤chen. Sitzungsberichte der K嗜iglich Bayerischen Akademie der Wissenschaften Mathematisch-Physikalische Klasse 1911: 249-303.

Myrmica ruginodis var. kotokui Forel, 1911， Myrmica kotokui: Collingwood, 1976， Myrmica ruginodis kotokui: Onoyama, 1989， クシケアリ (杉原, 1933)， クシケアリ (太田, 1936)， コウトククシケアリ (磐瀬, 1948)，

体長4〜5.5 mm。体色は褐色から黒褐色。脚はより明色。触角柄節は基部付近でゆるやかに曲がる。頭盾前縁中央部は凸状で，頭盾のしわの続きが前方へ突出して歯のようになる。胸部背面は強いしわで刻印される。縦しわが多い。中胸背部後方のしわの部分は盛り上がる。前伸腹節刺はふつう長い。腹部第1節背板基部前方に縦しわがある。ヨーロッパ産の ruginodis とくらべて独立種とするほどの違いはないので，Onoyama (1989)のように ruginodis の亜種とするのがよいのかもしれない。極東地方産との比較などの詳細な研究が必要である。
Mizutani (1981)は，札幌付近では河岸に生息するものは多雌性で，山地に生息するものは単雌性であり，コロニー繁殖様式や頭幅が異なっていると述べ，これらの2型はヨーロッパの M. ruginodis の小型雌型 microgyna と大型雌型 macrogyna に相当すると考えた。まだ標本が得られていないので，2型の分類学的位置づけは今後の検討課題である。
石下，土中，倒木などに営巣する。寒冷地ではごくふつう。羽アリの飛出は9月から10月上旬。

北海道，本州，四国，九州，屋久島；サハリン，朝鮮半島