2003年英語版に ジャンプします。
|
|
|
原著論文
|
|
Roger, J. (1862) Einige neue exotische Ameisen-Gattungen und Arten. Berliner Entomologische Zeitschrift 6: 233-254.
|
シノニム |
|
Acropyga Roger, 1862.
Acropyga : 日本蟻類研究会, 1988, 1991; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003; 寺山, 2004.
ミツバアリ属 : 寺西, 1929.
Rhizomyrma : 寺西, 1929; Onoyama, 1976; 日本蟻類研究会, 1988, 1991; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003; 寺山, 2004.
ミツバアリ亜属 : Onoyama, 1976.
Atopodon : Onoyama, 1976; 日本蟻類研究会, 1988, 1991; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003; 寺山, 2004. |
解 説 |
|
体長4 mm 以下の小型のアリで,体色は黄から黄褐色。働きアリ,雌アリの触角は7〜11節からなる(日本産の種では10もしくは11節)。複眼は小さく,触角柄節の幅より小さいか,あるいは欠失する場合もある。働きアリに単眼はなく,PFは5, 3もしくは小あごひげはそれ以下。胸部は前後に圧縮されて小さく,後胸溝は比較的浅く,前伸腹節は短い。前伸腹節の気門は大きく丸い。腹柄節は偏平で低い。腹部は大きく膨む。
本属はカイガラムシの Rhizoecinae亜科,特にEumyrmococcus, Xenococcus, Neochavesia 属の種と強い栄養共生の関係を結んでいる。これまでに知られている限りでは,もっぱらこれらのカイガラムシが出す分泌物を主要な食物としているようで,地上にはほとんど姿を現さない。またカイガラムシの方もアリの巣内でアリに保護され,巣中に張り出した植物の根から栄養分を吸収している。
2004年にLapollaによって世界の種を再検討した研究が発表され(LaPolla, 2004)、現在は世界から約40種が記載されている(Bolton et al., 2006)。かつて使用されていた亜属(マルバアリ (Atopodon) 亜属、ミツバアリ (Rhizomyrma) 亜属、そしてMalacomyrma 亜属)はLapolla (2004)によってすべてミツバアリ属Acropygaのシノニムとされた。
日本では和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)にまず学名未決定種1種を含む3種、ミツバアリAcropyga sauteri、イツツバアリA. nipponensis、ヨツバアリA. sp. 2(現A. yaeyamensis)が紹介され、県別分布図(寺山 & 木原, 1994)で学名未決定種ヒラセヨツバアリA. sp. 4(現A. kinomurai)が追加された。2種の学名未決定種はその後、双方ともTerayama & Hashimoto(1996)によって記載された。この結果データベース1998年版(アリ類データベース作成グループ, 1998)からは4種の学名決定種が掲載されている。2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003b)まではミツバアリ、ヨツバアリ、そしてヒラセヨツバアリをミツバアリ亜属、イツツバアリをマルバアリ亜属にそれぞれ配置する体系を採用していたが、本改訂では上記Lapolla (2004)の措置に従い、亜属を廃止する。
いずれも本州南岸以南にみられる。日本産の種とこれと共生するカイガラムシについては寺山 (1988) の総説とWilliams & Terayama (2000) の報告がある。
|
|
|
文 献
|
|
- Einige neue exotische Ameisen-Gattungen und Arten. Berliner Entomologische Zeitschrift 6: 233-254.
- Terayama, M. (1988). Taxonomy and ecology of myrmecophilous mealybug genus Eumyrmococcus. Rostria, (39), 643-648.
- Williams, D. J. & Terayama, M. (2000). A new species of the mealybug genus Eumyrmococcus Silvestri (Hemiptera: Pseudococcidae, Rhizoecinae) associated with the ant Acropyga (Rhizomyrma) kinomurai Terayama et Hashimoto (Hymenoptera: Formicidae) in the Ryukyu Islands, Japan. Ent. Sci. 3(2): 373-376.
追加引用文献:
-
アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
-
アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
-
アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
-
アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
-
Bolton, B., Alpert, G., Ward, P. S. & Naskrecki, P. (2006) Bolton's Catalogue of Ants of the World: 1758-2005. Harvard University Press, Cambridge, Massachusetts.
-
Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.
-
Lapolla, J. S. (2004) Acropyga (Hymenoptera: Formicidae) of the world. The American Entomological Institute, 33: 1-130.
-
日本蟻類研究会編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
-
日本蟻類研究会編 (1991) 日本産アリ類の検索と解説(II)カタアリ亜科,ヤマアリ亜科. 日本蟻類研究会, 東京.
-
Onoyama, K. (1976) A preliminary study on the ant fauna of Okinawa-Ken, with taxonomic notes (Japan; Hymenoptera: Formicidae). Pp. 121-141. In: Ikehara, S. (Ed.) Ecological studies of nature conservation of the Ryukyu Islands - (II). University of the Ryukyus, Naha, Okinawa.
-
寺山 守 (2004) 日本産有剣膜翅類目録. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 2: 1-123.
-
寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.
-
Terayama, M. & Hashimoto, Y. (1996) Taxonomic studies of the Japanese Formicidae, part 1. Introduction to this series and descriptions of four new species of the genera Hypoponera, Formica and Acropyga. Nature and Human Activities, 1: 1-8.
|
担当者
|
|
吉村正志(2008改訂)、寺山 守・久保田政雄(〜2003)
|
|