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カレバラアリ属

Carebara


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学 名

Carebara

原著論文

Westwood, J.O. (1840) Observations on the genus Typhlopone, with descriptions of several exotic species of ants. Annals and Magazine of Natural History, 6: 81-89.

シノニム
 

Carebara Westwood, 1840.

カレバラアリ属 : 緒方ら, 2005.
Oligomyrmex : 日本蟻類研究会, 1988, 1992; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003.

コツノアリ属 : 安松, 1951.

解 説

 働きアリカーストの大きさは1 mm 弱から4 mm。日本産の種では働きアリカーストは明瞭な2型を示し,オオズアリ属 Pheidole 同様,大型のものを兵アリ (もしくは大型働きアリ),小型のものを働きアリ (もしくは小型働きアリ) と呼ぶ。
 兵アリでは頭部が顕著に大きく前後に伸長し,頭頂部にしばしば1対の小突起をもつ。触角節数は8〜11節で先端の2節はこん棒部を形成する。触角柄節は短く,頭部中央部を大きく越えることはない。大あごは頑丈で,3角形を呈し,そしゃく縁には4〜6歯を備える。頭盾には一般に1対の隆起縁が縦走する。額隆起縁は短い。複眼の大きさは種によって異なり,日本産のものでは数個から20個前後の個眼よりなる。PFは2,  2。頭蓋腹面前縁に小突起はない。前・中胸背板は多少とも隆起する。後胸背板が現われることもある。後胸溝は明瞭。前伸腹節の後背部には小突起が発達することもある。腹柄節下部突起の発達の程度は種によって異なる。脚は短い。
 働きアリは一般にきわめて小型で,頭部は兵アリほど縦長にならない。頭頂部には突起をもたない。触角の節数,こん棒部などは同種の兵アリと同様で,触角柄節は兵アリに比べると相対的に長いが,頭部後方角を越えることはない。複眼は数個の個眼よりなる。後胸背板は完全に消失する。後胸溝は顕著。腹柄節の丘部は兵アリに比べ,隆起が低い。
 Fernàndez (2004)はアメリカからアルゼンチンにかけてのカレバラアリ属グループ(Bolton, 2003)の31種を検討し、それらをすべてカレバラアリ属一属にまとめた。まとめられた属の中にはコツノアリ属Oligomyrmexも含まれている。彼はコツノアリ属をカレバラ属に含めた理由として、1)コツノアリ属に、小型働きアリにおいてカレバラアリと見分けが難しい種があること、それらによって2)カレバラアリ属グループ(Bolton, 2003)のなかで、旧カレバラアリ属やコツノアリ属を単系統群として定義できないこと、を挙げている。この措置には異論がきかれるものの、本改訂では暫定的ながらこれに従って和名一覧以降コツノアリ属Oligomyrmexとしていた属をカレバラアリ属Carebaraのシノニムとして扱い、その下にあった種すべてをカレバラアリ属の下へ移すこととする。
 世界で約170種が分布している。日本国内では和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)の段階で、すでに2-3種の追加が予想されながらも2種がまず掲載され、その後検索と解説(日本蟻類研究会, 1992)で新たな2種を加えた4種が掲載された。1996年に寺山はコツノアリのうち、尖閣諸島を除く個体群を別種Oligomyrmex yamatonisとして記載し(Terayama, 1996)、1999年には尖閣諸島のC. sauteriに改めてタイワンコツノアリという和名を与えた(寺山, 1999)。これによって合計5種が日本に確認されたことになる。2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003b)ではこの5種すべてが掲載されているものの、タイワンコツノアリは未だ2分岐検索表からはもれている(タイワンコツノアリの見分け方はタイワンコツノアリの種のページに提供しているので参照されたい)。加えて、タイワンコツノアリとコツノアリの学名についても多少の混乱を生じるおそれがあるので(両種のページ参照)、注意が必要である

文 献
  • Adnotationes in monographiam formicidarum Indo-Neerlandicarum. Tijdschrift voor Entomologie (2) 2 [10]: 33-117.



    追加引用文献:
  • アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
  • Bolton, B. (2003) Synopsis and classification of Formicidae. Memoirs of the American Entomological Institute: 1-370.
  • Fernàndez, F. (2004) The American species of the myrmicine ant genus Carebara Westwood (Hymenoptera: Formicidae). Caldasia, 26: 191-238.
  • Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.
  • 日本蟻類研究会  編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
  • 日本蟻類研究会  編 (1992) 日本産アリ類の検索と解説(III)フタフシアリ亜科,ムカシアリ亜科(補追). 日本蟻類研究会, 東京.
  • 緒方 一夫, 久保田 政雄, 吉村 正志, 久保木 謙 & 細石 真吾 (2005) アリ類の分類体系 -ボルトンによる最近の変更より-. 蟻, 27: 13-24.
  • Terayama, M. (1996) Taxonomic studies of the Japanese Formicidae, part 2. Seven genera of Ponerinae, Cerapachyinae and Myrmicinae. Nature and Human Activities, 1, 9-32.
  • 寺山 守 (1999) アリ科. Pp. 138-317. In: 山根 正気, 幾留 秀一 & 寺山 守 (編) 南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説. 北海道大学図書刊行会, 札幌.
  • 寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.
担当者

吉村正志(2008改訂)、寺山 守・緒方一夫(〜2003)