family

アリ科

subfamily

フタフシアリ亜科

genus

カレバラアリ属


ITIS

 

Carebara borealis

Hymenoptera On-Line

 

Carebara borealis

FORMIS

 

Carebara borealis


English
2003年英語版に
ジャンプします。

オオコツノアリ

Carebara borealis


学 名

Carebara borealis

原著論文

Terayama, M. (1996) Taxonomic studies of the Japanese Formicidae, part 2. Seven genera of Ponerinae, Cerapachyinae and Myrmicinae. Nature and Human Activities, 1, 9-32.

シノニム
 

Oligomyrmex borealis Terayama, 1996.
Oligomyrmex borealis : アリ類データベース作成グループ, 1998, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003; 寺山, 2004.
オオコツノアリ : 園部, 1981.
Oligomyrmex sp. 2 : 日本蟻類研究会, 1988, 1992; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995.

解 説

 兵アリの体長3.5 mm,働きアリの体長1.5 mm。日本産カレバラアリ属としては大型種。体色はともに黄褐色。
兵アリの頭部の長さは幅の約1.1倍。頭部側縁は正面から見て前方がやや狭まる。頭頂部に明瞭な1対の突起をもち,後縁中央はへこむ。大あごはそしゃく縁に6歯を備える。触角は9節からなる。複眼は小さく5個以上の個眼からなり,頭蓋側面のほぼ中央に位置する。前・中胸は顕著に隆起する。中胸背板は痕跡的ではあるが盾板と小盾板に区分される。中胸側板の側面域は斜行する溝によって完全に2分割される。後胸背板は明瞭。前伸腹節後側縁は稜縁化するが,前伸腹節刺は歯状の突起として区別できる。腹柄節下部突起は角ばるが,刺状とはならない。頭部には多くの縦じわをもち,細かい点刻もある。前胸背板と中胸背板は大部分が平滑,胸部の他の部分および腹柄節の全表面と後腹柄節の側面はは細かい点刻でおおわれる。
 小型働きアリの頭部は幅よりも長さがわずかに長い。触角は9節からなる。大あごに5歯を備える。複眼は1個の個眼からなり,頭部側面のほぼ中央に位置する。前伸腹節の後側縁は稜縁化し板状の構造物が後背縁付近まで発達する。前伸腹節刺は歯状で上方を向く。頭部および前胸背板の表面にはほとんど彫刻はなく滑らか,中胸から後腹柄節にかけての体表面は細かい点刻でおおわれる。

 本種は和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)でオオコツノアリOligomyrmex sp. 2としてすでに掲載されていた。データベース1995年版(アリ類データベース作成グループ, 1995)まではそのまま学名未決定種として掲載されたが、1996年に寺山がO. borealisとして記載してからは(Terayama, 1996)2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003b)までこの学名で掲載されていた。
 2004年になって発表されたFerna`ndezの研究により、コツノアリ属Oligomyrmexはカレバラアリ属Carebaraのシノニムとされ、コツノアリ属に所属していた本種もカレバラアリ属の下に配置されることとなった(Ferna`ndez, 2004)。今回の改訂ではその措置に従って本種をオオコツノアリCarebara borealis (Terayama)とする。カレバラアリ属とコツノアリ属の分類学的な変更については属のページでも解説を加えているので参照されたい。また、2分岐検索表未収録のタイワンコツノアリCarebara sauteriとの見分け方はタイワンコツノアリのページを参照されたい。
 まれな種で,現在まで本州からの3例の採集記録しかない。 

分 布

本州(青森県,秋田県,山梨県)

文 献
  • Terayama, M. (1996). Taxonomic studies of the Japanese Formicidae, part 2. Seven genera of Ponerinae, Cerapachyinae and Myrmicinae. Nature and Human Activities, 1, 9-32.



    追加引用文献:

  • アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.

  • アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.

  • アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.

  • アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.

  • Ferna`ndez, F. (2004) The American species of the myrmicine ant genus Carebara Westwood (Hymenoptera: Formicidae). Caldasia, 26: 191-238.

  • Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.

  • 日本蟻類研究会  編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.

  • 日本蟻類研究会  編 (1992) 日本産アリ類の検索と解説(III)フタフシアリ亜科,ムカシアリ亜科(補追). 日本蟻類研究会, 東京.

  • 寺山 守 (2004) 日本産有剣膜翅類目録. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 2: 1-123.

  • 寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.

担当者

吉村正志(2008改訂)、寺山 守・緒方一夫(〜2003)