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カギバラアリ亜科

Proceratiinae


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学 名

Proceratiinae

原著論文
 

Emery, C. (1895) Die Gattung Dorylus Fab. und die systematische Eintheilung der Formiciden. Zoologische Jahrbücher. Abtheilung für Systematik, Geographie und Biologie der Thiere, 8: 685-778.

シノニム
 

Proceratii Emery, 1895.
Proceratiinae : Bolton, 2003; 寺山, 2004; 緒方ら, 2005.

カギバラアリ亜科 : 寺山, 2004.

解 説

 日本産種では体長2mmから4mm。体色は黄色から赤茶色。外皮は硬くて頑丈。働きアリの触角節数は日本産では8節から12節。触角挿入部はほとんどあるいは完全に露出する。頭部前端が頭盾と共に前方に顕著に突出して大あごを覆い隠す場合がある。他の日本産旧ハリアリ亜科Ponerinaeの属とは、前中胸縫合線が癒合して消失することで分けることができる。脚の付節末端の爪は単純でクシ歯状にはならない。腹柄節は一節。膨腹部の第一節と第二節の間は顕著にくびれる。腹部末端には針を持つ。
 Bolton (2003)によってハリアリ亜科の1族から分離され、独立の亜科へと昇格された。働きアリの膨腹部第2節の背板が肥大してそれ以降の節が大きく腹側に曲がるカギバラアリ族Proceratiiniと、雄アリで頭部前部と頭盾が顕著に背方に突出するハナナガアリ族Probolomyrmeciniの2族からなり、現生種ではそれら2族に含まれる3属で約130種が記載されている。緒方ら(2005)で紹介されているように、Bolton(1995)のカタログではカギバラアリ属Proceratiumとダルマアリ属Discothyreaはハリアリ亜科Ponerinae内の1族カギバラアリ族Proceratiiniに、ハナナガアリ属はハリアリ亜科Ponerinaeのヒラバナハリアリ族Platythyreiniに含まれていた(Platythyreiniにはこれまでフシハリアリ族、ナガハリアリ族などいくつかの和名が与えられていたが、ここでは緒方ら(2005)で改称された和名に従う)。和名一覧(日本蟻類研究会編, 1988)や検索と解説 (日本蟻類研究会編, 1989)ではこのBolton(1995)と同じ体系を採用していた。その後Perrault(2000)がハナナガアリ属を基に1亜科Probolomyrmicinaeを設立したが、データベース 2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003)では引き続きBolton(1995)の体系がそのまま継承されていた。今回の改訂では新たにBolton(2003)に従い、ハナナガアリ属をカギバラアリ亜科ハナナガアリ族の下に配置する。
 日本にはカギバラアリ属Proceratiumが4種とダルマアリ属Discothyreaが2種、そしてハナナガアリ属Probolomyrmexが2種と現生3属がすべて分布する。
 日本では照葉樹林林床の朽ち木や土中から得られることが多い。

引用文献
 
  • アリ類データベース作成グループ (2003) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
  • Bolton, B. (1995) A new general catalogue of the ants of the world. Harvard University Press, Cambridge, Mass.
  • Bolton, B. (2003) Synopsis and classification of Formicidae. Memoirs of the American Entomological Institute: 1-370.
  • 日本蟻類研究会  編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
  • 日本蟻類研究会  編 (1989) 日本産アリ類の検索と解説(I)ハリアリ亜科,クビレハリアリ亜科,クシフタフシアリ亜科,サスライアリ亜科,ムカシアリ亜科. 日本蟻類研究会, 東京.
  • 緒方 一夫, 久保田 政雄, 吉村 正志, 久保木 謙 & 細石 真吾 (2005) アリ類の分類体系 -ボルトンによる最近の変更より-. 蟻, 27: 13-24.
  • Perrault, G. H. (2000) Les Probolomyrmicinae, nouvelle sous-famille pour le genre Probolomyrmex (Hymenoptera, Formicidae). Bulletin de la Socie´te´ Entomologique de France, 105: 253-272.
  • 寺山 守 (2004) 日本産有剣膜翅類目録. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 2: 1-123.
担当者

吉村正志