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原著論文
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Mayr, G. (1901) Südafrikanische Formiciden, gesammelt von Dr. Hans Brauns. Annalen des Kaiserlich-Königlichen Naturhistorischen Museums in Wien, 16: 1-30.
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シノニム
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Probolomyrmex Mayr, 1901.
Probolomyrmex : 日本蟻類研究会, 1988, 1989; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003; 緒方ら, 2005.
ハナナガアリ属 : 日本蟻類研究会, 1988.
ハナナガフシアリ属 : Onoyama, 1976.
ハナダカフシアリ属 : 緒方, 1984. |
解 説
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体長4 mm 以下の小型の細長いアリで,頭部の特異な形態,すなわち頭盾が著しく前方に突出し大あごをおおい隠すことによって他の属からは容易に区別される。触角の基部は裸出し,左右は接近して中央の垂直な隆起板によって仕切られている。働きアリには複眼がなく,胸部背面は縫合線を欠き,大あごなどの一部の場所を除いて明瞭な立毛を持たない。体表面は鮫肌状の細かい彫刻があり,光沢はない。
世界の熱帯・亜熱帯地域からこれまでに約20種が記載されているが,いずれの種も非常にまれで,模式産地のみからしか知られていない場合が多い。また採集される個体数も通常数個体のみで,食性など詳しい生態はほとんど知られておらず,インドネシア産の種でフサヤスデ科のヤスデを餌としていることが報告されている程度である。林床の落葉層あるいは土壌中より採集され,落枯枝,朽木もしくは土壌中に営巣する
日本からは琉球列島のみから2種が記録されている。和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)で学名未詳種として掲載されたこの2種、ハナナガアリProbolomyrmex sp. 1(現P. okinawensis)とホソハナナガアリP. sp. 2(現P. longinodus)は、両種ともTerayama & Ogata (1988)により記載された。その後も分類学的な知見は徐々に蓄積されており、Eguchiら(2006)は東洋区におけるハナナガアリ属の分類学的な整理を行ない、この2種を含む10種を掲載している。
本属の分類体系上の配置はこれまでにもたびたび問題となっており、Bolton (1995)による世界のアリのカタログではハナナガアリ属Probolomyrmexはハリアリ亜科Ponerinaeのヒラバナハリアリ族Platythyreiniに含まれていた(Platythyreiniにはこれまでフシハリアリ族、ナガハリアリ族などいくつかの和名が与えられていたが、ここでは緒方ら(2005)で改称された和名に従う)。和名一覧(日本蟻類研究会編, 1988)や検索と解説(日本蟻類研究会編, 1989)ではこのBolton(1995)と同じ体系を採用していた。その後Perrault(2000)がハナナガアリ属を基に1亜科Probolomyrmicinaeを設立したが、データベース2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003)では引き続きBolton(1995)の体系がそのまま継承されていた。今回の改訂では新たに緒方ら(2005)でも紹介されたBolton (2003)の体系に従い、ハナナガアリ属をカギバラアリ亜科Proceratiinaeハナナガアリ族Probolomyrmeciniの下に配置する。
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文 献
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- Terayama, M. & K. Ogata (1988). Two new species of the ant genus Probolomyrmex (Hymenoptera, Formicidae) from Japan. . Kontyu, 56, 590-594.
- Myrmecological Society of Japan, Editorial Committee (ed.) (Ed.). (1988). A list of the ants of Japan with common Japanese names. The Myrmecological Society of Japan, Tokyo.
- S歸afrikanische Formiciden, gesammelt von Dr. Hans Brauns. Annalen des k.k. Naturhistorischen Hofmuseums Wien 16: 1-30.
- Onoyama, K. (1976). A preliminary study of the ant fauna of Okinawa-Ken, with taxonomic notes. (Japan: Hymenoptera: Formicidae). . Ecol. Stud. Nat. Cons. Ryukyu Isl., 2, 121-141.
- Ogata, K. (1984b. ). Classification of Japanese ants (2)-Key to the genera of Ponerinae-. . Nature Study, 30(9), 7-9 .
追加引用文献:
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アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
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Bolton, B. (1995) A new general catalogue of the ants of the world. Harvard University Press, Cambridge, Mass.
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Bolton, B. (2003) Synopsis and classification of Formicidae. Memoirs of the American Entomological Institute: 1-370.
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Eguchi, K., Yoshimura, M. & Yamane, S. (2006) The Oriental species of the ant genus Probolomyrmex (Insecta: Hymenoptera: Formicinae: Proceratiinae). Zootaxa, 1376: 1-35.
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Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.
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日本蟻類研究会 編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
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日本蟻類研究会 編 (1989) 日本産アリ類の検索と解説(I)ハリアリ亜科,クビレハリアリ亜科,クシフタフシアリ亜科,サスライアリ亜科,ムカシアリ亜科. 日本蟻類研究会, 東京.
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緒方 一夫, 久保田 政雄, 吉村 正志, 久保木 謙 & 細石 真吾 (2005) アリ類の分類体系 -ボルトンによる最近の変更より-. 蟻, 27: 13-24.
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Perrault, G. H. (2000) Les Probolomyrmicinae, nouvelle sous-famille pour le genre Probolomyrmex (Hymenoptera, Formicidae). Bulletin de la Socie´te´ Entomologique de France, 105: 253-272.
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担当者
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吉村 正志(2007改訂)、寺山 守(〜2003)
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