2003年英語版に ジャンプします。
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原著論文
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Roger, J. (1863) Die neu aufgeführten Gattungen und Arten meines Formiciden-Verzeichnisses nebst Ergänzung einiger früher gegebenen Beschreibungen. Berliner Entomologische Zeitschrift, 7: 131-214.
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シノニム
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Proceratium Roger, 1863.
Proceratium : 日本蟻類研究会, 1988, 1989; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003.
カギバラアリ属 :日本蟻類研究会, 1988.
オオシマハリアリ属: 寺西, 1930.
ワタセハリアリ属 : 寺西, 1930.
アカハリアリ属 : 岡野, 1950.
カギバラハリアリ属 : Onoyama, 1976. |
解 説
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複眼は退化し,通常数個の個眼よりなり,頭部側面中央部より後方に位置する。触角は12節でこん棒部を形成しない。頭盾前縁は種によって異なるが,前方に突出していても大あごにかかるにはいたらない。胸部は背面に縫合線を欠く。腹柄節は種によって様々な形態を示し,種を同定するときの重要な形質となる。腹部は特異な形態となっていて,腹部第1,第2節の背板が膨大化し,全体として腹方ないし前方に曲がる。
腐倒木や腐切株,土中に営巣し,通常地下で活動する。ムカデやクモなどの卵を捕食する。Brown(1958;1980)によると,これらの卵を巣内に貯えていることもあるという。増子(1981)はカギバラアリの湾曲した腹部がエサとなる球形の卵の取り扱いに役だっていると報告している。
Baroni Urbani & De Andrade(2003)によって世界のカギバラアリ属の再整理が行なわれ、現在は世界から約75種が知られている。日本では和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)の段階で学名未決定種モリシタカギバラアリ Proceratium sp. 4(現P. morisitai)を含む4種が挙げられていた。Onoyama & Yoshimura (2002)は日本産カギバラアリ属の分類学的な再整理を行なうなかで、モリシタカギバラアリを記載し、4種の全てについて詳細な形態の記載と走査電子顕微鏡写真、働きアリと雄アリの形質、そして翅脈をつかった新たな検索表を提供している。いずれの種も比較的まれ。
和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)では本属はダルマアリ属Probolomyrmexと共にハリアリ亜科Ponerinaeカギバラアリ族Proceratiiniに配置され、その体系はデータベース2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003)までそのまま引き継がれた。今回の改訂では新たにBolton(2003)に従い、本属をカギバラアリ亜科Proceratiinaeカギバラアリ族Proceratiiniに移動する。Bolton(2003)によるカギバラアリ亜科の分類学的な改訂については、緒方ら(2005)にも解説されているので参照されたい。
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文 献
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- Brown, W. L., Jr. (1958b. ). Contribution toward a reclassification of the Formicidae II. Tribe Ectatommini. . Bull. Mus. Comp. Zool. Harvard, 118, 173-362.
- Brown, W. L., Jr. ,1980
- Masuko, K. (1981). Predatory behavior of some forest floor dwelling ants. . Insects and Nature, 16(3), 19-25. .
- Onoyama, K. (1976). A preliminary study of the ant fauna of Okinawa-Ken, with taxonomic notes. (Japan: Hymenoptera: Formicidae). . Ecol. Stud. Nat. Cons. Ryukyu Isl., 2, 121-141.
- Onoyama, K. & Yoshimura, M. 2002. The ants of the genus Proceratium (Hymenoptera: Formicidae) in Japan. Entomological Science, 5: 29-49.
追加引用文献 :
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アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
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Baroni Urbani, C. & De Andrade, M. L. (2003) The ant genus Proceratium in the extant and fossil record (Hymenoptera: Formicidae). Museo Regionale di Scienze Naturali Monogrrafie (Turino), 36: 1-492.
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Bolton, B. (2003) Synopsis and classification of Formicidae. Memoirs of the American Entomological Institute: 1-370.
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Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.
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日本蟻類研究会 編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
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日本蟻類研究会 編 (1989) 日本産アリ類の検索と解説(I)ハリアリ亜科,クビレハリアリ亜科,クシフタフシアリ亜科,サスライアリ亜科,ムカシアリ亜科. 日本蟻類研究会, 東京.
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緒方 一夫, 久保田 政雄, 吉村 正志, 久保木 謙 & 細石 真吾 (2005) アリ類の分類体系 -ボルトンによる最近の変更より-. 蟻, 27: 13-24.
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担当者
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吉村正志(2008改訂)、小野山敬一・吉村正志・緒方一夫(〜2003)
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