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ナワヨツボシオオアリ
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Camponotus nawai |
原著論文
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Ito, T. (1914) Formicidarum japonicarum species novae vel minus cognitae. Annales de la Société Entomologique de Belgique, 58: 40-45.
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シノニム
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Camponotus fallax var. nawai Ito, 1914.
Camponotus (Camponotus) caryae var. nawai : Wheeler, 1917.
Camponotus (Myrmamblys) itoi var. nawai : Emery, 1925; 日本蟻類研究会, 1988.
Camponotus (Myrmentoma) caryae var. nawai : Wheeler, 1928.
Camponotus (Myrmamblys) nawai : Terayama & Satoh, 1990; 日本蟻類研究会, 1991; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003b; 寺山, 2004.
Camponotus nawai : Japanese Ant Database Group, 2003; アリ類データベース作成グループ, 2003a.
ナワヨツボシオオアリ : 寺西, 1929.
ナワオオアリ : 伊藤, 1921.
ヨツテンツヤオオアリ : 馬場, 1951.
ナワフシボソクサアリ : 岡野, 1952.
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解 説
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ウメマツオオアリ亜属Myrmamblysの1種。体長4〜4.5 mm。体色は黒色で,前胸は赤褐色から黒褐色,脚は褐色。腹部第1,第2背板にはそれぞれ一対の白色円紋がある。ただしこの円紋は個体変異に富み,良く発達するものからほとんど消失するものまである。側方から見て前伸腹節背縁は直線状,腹柄節は薄い。
伊豆諸島及び本州中部太平洋岸産のものと紀伊半島や四国産のものとは腹柄節の形態や色彩等に多少の差異が認められる。これらの相違が種の相違である可能性も残されており,地域個体群間の詳細な比較検討が必要である。
ナワヨツボシオオアリは、1914年にItoによって静岡県からCamponotus fallax var. nawaiとして記載された種である(Ito, 1914)。そのあとWheelerがアメリカのC. caryaeの変種であるとしてその下に移したが(Wheeler, 1917; 1928)、Emeryは日本産種であるイトウオオアリC. itoiの下に配置することを主張している(Emery, 1925)。こうした流れの中、和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)ではEmeryの見解に従い、ウメマツオオアリ亜属所属のナワヨツボシオオアリ Camponotus itoi var. nawaiとして掲載された。
1990年には、Terayama & Satohがイトウオオアリの変種から、ウメマツオオアリ亜属の独立種として昇格させ(Terayama & Satoh, 1990)、翌年に発表された検索と解説(II)(日本蟻類研究会, 1991)以降、現在までナワヨツボシオオアリCamponotus (Myrmamblys) nawaiとして掲載されている。
樹上営巣性で,枯れ枝等に巣をつくり,8月に結婚飛行が見られる。ヤマヨツボシオオアリが多雌性で5月に結婚飛行が見られ,また平野部から山地にかけて分布するのに対して,本種は単雌性で海岸近くの林内に生息する (Satoh, 1989)。
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分 布
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本州(中部以南),四国,九州,屋久島,南西諸島(横当島,宝島,奄美大島)
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文 献
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- Satoh, T. (1989). Comparisons between two apparently distinct forms Camponotus nawai Ito (Hymenoptera: Formicidae). Ins. Soc., 36, 277-292.
- Terayama, M. & T. Satoh (1990). A new species of the genus Camponotus from Japan, with notes on two known forms of the subgenus Myrmamblys (Hymenoptera, Formicidae). . Jpn. J. Ent., 58, 405-414.
- Wheeler, W. M. (1928). Ants collected by Professor F. Silvestri in Japan and Korea. . Boll. Lab. Zool. Gen. Agrar. Portici, 21, 96-125.
- Emery, C. (1925). Hymenoptera, Formicidae, Formicinae. . In M. P. Wytsman, ed., ""Genera Insectorum"", fasc. , 183, 1-302.
- 伊藤篤太郎 (1921). ナワオオアリ(Camponotus fallax Nyl. var Nawai Ito)(新称).昆虫世界 25: 3.
- 馬場喜敬 (1951). 蟻の生活より(四).生態昆虫 3: 99-102.
- 岡野喜久麿,(1952). 三浦半島産蟻若干(日本産蟻類覚え書43).土佐昆虫同好会会報1(3/4): 12-16.
追加引用文献:
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アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
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Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.
- 日本蟻類研究会 編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
- 日本蟻類研究会 編 (1991) 日本産アリ類の検索と解説(II)カタアリ亜科,ヤマアリ亜科. 日本蟻類研究会, 東京.
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寺山 守 (2004) 日本産有剣膜翅類目録. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 2: 1-123.
- 寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.
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Wheeler, W. M. (1917) The North American ants described by Asa Fitch. Psyche, 24: 26-29.
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担当者
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吉村正志(2008改訂)、寺山 守・森下正明・小野山敬一(〜2003)
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