family

アリ科


下位のタクソン

カタアリ属
ルリアリ属
コヌカアリ属
ヒラフシアリ属
アルゼンチンアリ属


属への検索キー

ワーカー(雌アリ)用

雄アリ用


ITIS

 

Dolichoderinae

Hymenoptera On-Line

 

Dolichoderinae

FORMIS

 

Dolichoderinae

CSIRO

  Dolichoderinae


English
2003年英語版に
ジャンプします。

カタアリ亜科

Dolichoderinae


表示モード

形態比較
サイズ比較
(約1.5倍)
学 名

Dolichoderinae

解 説

働きアリは,複眼が発達しているが,単眼はほとんど常に欠失する。触角は通常12節で,一部11節もしくは10節の属を含む。前中胸縫合線および後胸溝は多少とも明瞭である。いくつかの属では前胸や前伸腹節に刺状の突起が発達するが,日本産の属では見られない。腹柄節は一節からなり,コブ状もしくは鱗片状となるものから背部が発達せず筒状のものまである。前者は柄部を持たず,しばしば頂部に突起を持つものもある。筒状に退化するものは腹部におおいかぶさられており腹柄節全体が背方から見えない場合もある。腹部第2節前部はくびれない。腹部末端に刺針はなく,腹部末端の孔は偏平 (スリット状) となり,周毛を持たない。
雌アリは働きアリに比べ一般に大型で,つねに単眼をもち,発達した胸部と大きな腹部をもつ。雄アリも単眼と発達した胸部を持つが,腹柄節は全体により丸い。尾毛 (cerci) はカタアリ (Dolichoderus) 属,コヌカアリ (Tapinoma) 属,Liometopum 属などでは発達する。原則として雌アリ,雄アリともに有翅で,前翅の亜前縁室 (または肘室ともいう) は一般に2室,多くの属では中央室をもつ。アシジロヒラフシアリ (Technomyrmex brunneus) のようにまれに無翅の雄アリを生産するものもある。幼虫はもっぱら液体状の食物を摂取するように特殊化しており,繭を作らない。
世界から25属約250種が知られており3つの族に分けられているが,属の特徴が曖昧なものを含み,分類は不十分な状態にある。熱帯と亜熱帯を中心に分布し,一部の種では全北区にも見られる。
一般に地中営巣性もしくは地表の石や倒木下などに営巣し地上徘徊性のものが多いが,植物体の空洞,枯れ枝,樹皮下等に営巣し,樹上生活を行うものある。また,植物と共生関係を持ち,植物体の一部を巣として利用している種もルリアリ (Ochetellus) 属, ヒラフシアリ (Technomyrmex) 属, コヌカアリ (Tapinoma) 属,Azteca 属等の中に見られる。種類によっては巨大なコロニーを作る。液体状のものを餌としているようで,植物から分泌される蜜を餌源とするほか,同翅目昆虫と関係を持つ種も多い。 ルリアリ属, コヌカアリ属,Azteca 属等には,農作物を直接加害するか,害虫である同翅目類を保護することにより一次的にあるいは二次的に被害を与える農業害虫となる種も多く,また家屋への侵入害虫として著名な種も多い。
日本産のカタアリ亜科の属とそれらの世界的な分布は表のようにまとめられる。「和名一覧」 (日本蟻類研究会, 1988) では日本産カタアリ亜科を4属7種 (学名未詳種は2種) としていたが,その後の検討の結果この2学名未詳種は同一種と思われ,本書では4属6種 (学名未詳種は1種) を取り扱った。

担当者

寺山 守