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アシジロヒラフシアリ
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Technomyrmex brunneus |
学 名
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Technomyrmex brunneus
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原著論文
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Forel, A. (1895) Les Formicides de l'Empire des Indes et de Ceylan. Part V. Journal of the Bombay Natural History Society, 9: 453-472.
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シノニム
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Technomyrmex albipes r. brunneus Forel, 1895.
Technomyrmex brunneus :Bingham, 1903; Bolton, 2007.
アシジロヒラフシアリ : 寺西, 1929.
Technomyrmex albipes : 寺西, 1929; 日本蟻類研究会, 1988, 1991; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003b, a; Japanese Ant Database Group, 2003; 寺山, 2004.
Technomyrmex detorquens : 岡本, 1966.
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解 説
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体長2.5 mm。体色は黒から黒褐色で触角べん節,脚付節は淡黄色。頭部は長さと幅がほぼ等しい。大あごのそしゃく縁には15前後の細かいのこぎり状の歯を持ち,先端の2歯はより発達する。複眼は頭部側面のほぼ中央に位置する。触角柄節は比較的長く,先端は頭部後縁を明らかに越える。体表面は鮫肌状で,前胸,中胸,前伸腹節にそれぞれ1対ずつの立毛がある。各腹節背板に立毛がある。
比較的乾燥した草地や林縁に見られ,朽ち木や切株,枯れ枝等に営巣する。しばしば働きアリの個体数が数百万に達する多巣性コロニーを形成する。生殖カーストとしては有翅の雌アリ・雄アリ以外に,翅を持たない職型雌および雄の存在が観察されている (山内ほか, 1988; Yamauchi, et al. , 1991)。
本種の初出は1929年の寺西氏による報告までさかのぼると思われ(寺西, 1929)、それ以来アシジロヒラフシアリTechnomyrmex albipesとして多くの文献に掲載されてきた。
2007年にBolton氏は世界のヒラフシアリ属Technomyrmexの分類学的な再整理を発表した(Bolton, 2007)。その中で彼は、日本に分布しているアシジロヒラフシアリがT. albipesとは別の種のTechnomyrmex brunneusであることを明らかにし、これまで日本国内から発表された詳細な生態観察の報告もすべてT. brunneusのものであるとした。本改訂ではこのBolton(2007)の見解に従い、アシジロヒラフシアリの学名を変更する。
有翅女王と有翅雄は5月から6月に採集されている。南西諸島のマングローブ林では優占種である (寺山, 1989)。千葉県や静岡県では,植物園に生息していたものが発見されている。
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分 布
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九州南部,南西諸島;台湾,中国,インド,スリランカ,ベトナム
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文 献
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- 山内ほか, 1988
- Terayama, M. (1989). Ant community of the mangrove swamps of Japan. . Bull. Toho Gakuen, (3), 1-11. .
- Catalogue of hymenopterous insects collected by Mr. A.R. Wallace in the Islands of Ceram, Celebes, Ternate, and Gilolo. Journal of the Proceedings of the Linnean Society, Zoology 6: 36-48.
- 岡本 啓 (1966). 四国のアリ(5).げんせい (16): 5-8.
- Yamauchi, K., T. Furukawa, K. Kinomura, H. Takamine & K. Tsuji (1991). Secondary polygyny by inbred wingless sexuals in the dolichoderine ant Technomyrmex albipes. Behav. Ecol. Sociobiol. 29: 313-319.
追加引用文献:
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アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
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Bingham, C. T. (1903) The fauna of British India, including Ceylon and Burma. Hymenoptera, Vol. II. Ants and Cuckoo-wasps. Taylor and Francis, London.
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Bolton, B. (2007) Taxonomy of the dolichoderine ant genus Technomyrmex Mayr (Hymenoptera: Formicidae) based on the worker cast. Contributions of the American Entomological Institute, 35: 1-150.
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Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.
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日本蟻類研究会 編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
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日本蟻類研究会 編 (1991) 日本産アリ類の検索と解説(II)カタアリ亜科,ヤマアリ亜科. 日本蟻類研究会, 東京.
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寺西 暢 (1929) 日本産蟻類の習性と分布(二). 動物学雑誌, 41: 312-332.
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寺山 守 (2004) 日本産有剣膜翅類目録. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 2: 1-123.
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寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.
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担当者
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吉村正志(2008改訂)、寺山 守・久保田政雄(〜2003)
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