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ムカシアリ亜科

Leptanillinae


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学 名

Leptanillinae

原著論文

Emery, C. (1910) Hymenoptera. Fam. Formicidae. Subfam. Dorylinae. Genera Insectorum, 102: 1-34.

解 説

2族5属約30数種よりなる小さな亜科。“ムカシアリ”という和名が与えられているが,本亜科は“原始的”というよりもむしろ特殊化したグループである。かつてムカシアリ亜科はサスライアリ亜科やグンタイアリ亜科に近いとされていたが,むしろかなり遠く,ハリアリ亜科に近いとされている。
Bolton (1990) によって再編されたムカシアリ亜科は,Leptanilla,Noonilla,Phaulomyrma,Scyphodon,Yavnella の5属からなるLeptanillini,かつてハリアリ亜科に入れられていたApomyrma 1属のみからなるApomyrmini,そしてAnomalomyrmaとProtanilla の2属からなる Anomalomyrmini の3族からなる。しかし,現在ではApomyrmini は独立の亜科として扱われ,ムカシアリ亜科からは外れた (Baroni Urbani et al., 1992)。Ogata et al. (1995) はNoonillaを亜科不明としてムカシアリ亜科から除外し,Scyphodonを膜翅目ではあるが科不明としてアリ科から除外した。一方,PhaulomyrmaとYavnella の2属はそれぞれ1〜2種よりなり,しかも雄アリしか知られていないが,Ogata et al. (1995) は確かにムカシアリ亜科に属するとした。
ムカシアリ亜科の働きアリは,単型的な小・中型の地下性のアリで,複眼を欠き,額葉を持たず,触角受容部は背方に向き完全に露出し,触角は12節,前中胸縫合線があり可動的で,後胸葉 metapleural lobesを欠く。真の第3腹節の気門は大きく,極めて前方に位置する。
旧世界の温帯から熱帯域に分布するがいずれもまれである。土中に生息する。雄アリはしばしばスイーピングなどで採集されているが,働きアリと対応づけられた雄アリはムカシアリ属のヤマトムカシアリだけが知られている (Ogata et al., 1995)。
Bolton (1990)は2つの新しい属を記載した。Anomalomyrma Taylorと Protanilla Taylorで,前者はキバジュズフシアリ属,後者はジュズフシアリ属と「和名一覧」(日本蟻類研究会, 1988) で和名を与えたものにあたる。そしてこの2属は1つの新族,ジュズフシアリ族 Anomalomyrmini Taylor を構成し,ムカシアリ亜科に入れられている。「和名一覧」では未命名の新亜科を構成するものとしたが,Bolton (1990) に従い,ムカシアリ亜科に属するものとして取り扱う。なお,Bolton (1990) によって明らかにされた1新族2新属は Taylorの命名として扱われているが,新族の模式属の模式種は Bolton による命名であり,もう一方の新属の模式種は Taylorが記載するであろうとされた新種で,その種名と模式標本の測定値,採集データ,所蔵場所を述べている。きわめて変則的かつ異例であるが,Taylor が20数年間も発表を延ばしてきたことにも責任がある。
日本産ムカシアリ亜科は2族 (ムカシアリ族 Leptanilliniとジュズフシアリ族Anomalomyrmini) 3属となる。属ごとの世界的分布は表に示す通りである。キバジュズフシアリ属の模式種はマレーシアから記載されたが,日本産の種は未記載のままである。ジュズフシアリ属は「和名一覧」では2種をあげたが,その後の検討の結果,1種内の変異であると考えられる。したがってジュズフシアリ族は2属2種となる。ジュズフシアリ族の雄は未発見で,分類学的位置を定めるためにも採集が望まれる。

文 献

  • Bolton, B. (1990). The higher classification of the ant subfamily Leptanillinae (Hymenoptera: Formicidae). Syst. Ent., 15, 267-282.
  • Baroni Urbani, C., B. Bolton & P. S. Ward ,1992
  • Ogata, K., Terayama, M. & Masuko, K. (1995). The ant genus Leptanilla: discovery of the worker-associated male of L. japonica, and a description of a new species from Taiwan (Hymenoptera: Formicidae: Leptanillinae). Systematic Entomology, 20: 27-34.
  • Myrmecological Society of Japan, Editorial Committee (ed.) (Ed.). (1988). A list of the ants of Japan with common Japanese names. The Myrmecological Society of Japan, Tokyo.

担当者

小野山敬一・緒方一夫・吉村正志