family

アリ科

subfamily

フタフシアリ亜科

genus

アゴウロコアリ属


ITIS

 

Pyramica benten

Hymenoptera On-Line

 

Pyramica benten

FORMIS

 

Pyramica benten


English
2003年英語版に
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イガウロコアリ

Pyramica benten


学 名

Pyramica benten

原著論文

Terayama, M., C.-C. Lin & W.-W. Wu (1996) Taiwanese species of the ant genus Smithistruma (Hymenoptera, Formicidae). Jpn. J. Ent., 64, 327-339.

シノニム

Smithistruma benten Terayama, Lin & Wu, 1996.
Smithistruma benten : アリ類データベース作成グループ, 1998; 寺山, 1998, 1999.
Pyramica benten : Bolton, 1999; Japanese Ant Database Group, 2003; アリ類データベース作成グループ, 2003b, a; 寺山, 2004.
Smithistruma sp. 4 : 日本蟻類研究会, 1988, 1992; 寺山 & 木原, 1994.
イガウロコアリ : 日本蟻類研究会, 1988.

解 説

 体長1.5〜2 mm。頭盾は幅広く,外周は鱗片状毛で縁どられない。触角柄節外縁は角ばらない。前中胸は隆起しない。ケブカウロコアリにきわめて類似するが,頭部の体毛は先端が多少太くなり,また一般に短く,前方部のものは伏毛。ただし変異があり,関東地方のものは短く疎であるが,九州のものは多少長い。また腹部第1節背板にほとんど体毛を欠く場合もある。
 本種は和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)でイガウロコアリ Smithistruma sp. 4として初登場し、寺山(1998)によって、S. bentenであると同定されている。寺山氏自身、1996年に台湾からS. benten を記載するときには西表島、三重県、東京都から採集された日本産の材料も用いているが、それ以前に日本国内で記録されていたSmithistruma sp. 4と、S. benten との関係には言及しなかった(Terayamaら, 1996)。その後、1999年にBolton(1999)によってノコバウロコアリ属Smithistrumaがアゴウロコアリ属Pyramicaの新参異名となったため、現在はアゴウロコアリ属に配置されている。
 データベース2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003)では、頭山 (1998) が広島県から報告した、頭部後方の立毛の少ない「ボウズ型」をBolton (2000)が Pyramica alecto として記載したと解説されていた。しかし、頭山のいう「ボウズ型」とP. alectoは全く別のものであり、この解説は誤りであった。頭山(1998)の「ボウズ型」は従来通り本種イガウロコアリの種内の変異と見なしつつ、本改訂ではこれとは別にPyramica alecto をイガウロコアリから独立させた(アゴウロコアリの一種 Pyramica alecto のページ参照)。
 照葉樹林の林縁からやや開けた場所の土中に営巣する。本州南岸以南から九州にかけては,アゴウロコアリ属の中では比較的よく採集される。

分 布

本州,四国,九州,南西諸島;台湾.

文 献
  • Terayama, M., C.-C. Lin & W.-W- Wu (1996). Taiwanese species of the ant genus Smithistruma (Hymenoptera, Formicidae). Jpn. J. Ent., 64, 327-339.
  • Bolton, B. 1999. Ant genera of the tribe Dacetonini (Hymenoptera: Formicidae). J. Nat. Hist., 33: 1639-1689.
  • Bolton, B. 2000. The ant tribe Dacetini part 2. Memoirs of the American Entomological Institute, 65: 492-1028.
  • 頭山 昌郁 (1998) 広島市周辺にみられるイガウロコアリの変異型とその分布について. Edaphologia, 61: 1-5.

    追加引用文献:
  • アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
  • Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.
  • 日本蟻類研究会  編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
  • 日本蟻類研究会  編 (1992) 日本産アリ類の検索と解説(III)フタフシアリ亜科,ムカシアリ亜科(補追). 日本蟻類研究会, 東京.
  • 寺山 守 (1998) "日本産蟻類の検索と解説I、II、III" 以降の学名変更種一覧. 蟻, 22: 13-18.
  • 寺山 守 (1999) アリ科. Pp. 138-317. In: 山根 正気, 幾留 秀一 & 寺山 守 (編) 南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説. 北海道大学図書刊行会, 札幌.
  • 寺山 守 (2004) 日本産有剣膜翅類目録. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 2: 1-123.
  • 寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.
担当者

吉村正志(2008改訂)、吉村正志・緒方一夫・小野山敬一(〜2003)