family

アリ科

subfamily

フタフシアリ亜科

genus

ウロコアリ属


ITIS

 

Strumigenys lewisi

Hymenoptera On-Line

 

Strumigenys lewisi

FORMIS

 

Strumigenys lewisi


English
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ウロコアリ

Strumigenys lewisi


学 名

Strumigenys lewisi

原著論文

Cameron, P. (1886) On a new species of Strumigenys (S. lewisi) from Japan. Proceedings of the Manchester Literary and Philosophical Society 25: 229-232.


シノニム

Strumigenys lewisi Cameron, 1886.
Strumigenys lewisi : Brown, 1949; 日本蟻類研究会, 1988, 1992; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998; 寺山, 1999; アリ類データベース作成グループ, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003; 寺山, 2004.
ウロコアリ : 矢野宗幹, 1910.
Strumigenys godeffroyi var. lewisi: Mayr, 1887,矢野宗幹, 1910.
Strumigenys sp. A : Onoyama, 1976.
Strumigenys sp. 9 : 日本蟻類研究会, 1992; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003; 寺山, 2004.
ミナミウロコアリ : 日本蟻類研究会, 1992.
Strumigenys
sp. D : 寺山, 1999.

解 説

 体長2 mm。体色は黄色から褐色。触角は6節よりなる。大あごは長く、ほぼ直線状。大あごには刺状の亜先端歯を持つ。亜先端歯は1本で,その長さは大あごの軸の幅とほぼ同じ。その先に大きい2本の先端歯をもち、その間には2〜3個の小歯がある。頭部後方中央部にある一対の立毛は直毛。触角収容溝後端にある立毛は短い直毛。側面から見て前・中胸背縁は後胸溝へなだらかにつながり,少しへこむ。前胸肩部の毛は長い縮れ毛。前胸背面の伏毛はまばら。中胸前部の一対の立毛は直毛。中胸と前伸腹節の側面には点刻がない平滑な部分を持つ。前伸腹節刺は弱くしばしばその全形が不明瞭。前伸腹節後方の海綿状薄板はよく発達し横から見てその外縁は後方へ弱くせり出す。薄板の最大幅は前伸腹節刺の長さとほぼ同じ。薄板の背縁部は前伸腹節刺の背面より上には、はみ出さない。
 データベース2003年版(アリ類データベース作成グループ, 2003b)までは,本種はキタウロコアリS. sp. 4(現 S. kumadori)・ミナミウロコアリS. sp. 9と酷似し、働きアリでは見分けることができないとされていた。
 それに対し、Yoshimura & Onoyama(2007)は、この三者の分類学的な関係を再検討し発表した。その結果、ウロコアリの女王アリの中胸楯板の高さや単眼の発達の程度には大きな変異がみられ、沖縄から採集された標本群をそれらの形質によって明確に本州のものから分けることはできないことから、ミナミウロコアリはウロコアリの地理的な変異であるとした。
 またキタウロコアリとは、働きアリでは、1)触角収容溝後端と中胸前部の立毛が短く、直毛であること、女王アリでは、2)後方の単眼が小さく時に不明瞭なこと、3)その単眼の周りが黒く縁取られないこと、4)複眼が小さくその最大直径が前伸腹節刺の長さを超えないこと、5)中胸背板の発達が弱く背面から見て幅が狭いこと、6)翅の発達が相対的に悪く、短く細いこと、などの違いにより区別できることをあきらかにした。さらにキタウロコアリの雄アリとは大あごの形と生殖器の形態にも違いが見られる。
 石下,倒木,切り株,落葉層,土中,枯竹茎中などに営巣する。羽アリは8月に羽化する。トビムシ類を餌とする (岡本,1953;Masuko, 1984)。捕食行動については Masuko (1984) や増子 (1985) の報告がある。コロニー成員数は少なく,ふつう数十から100 (寺西, 1929)。多雌性。土壌中では多いもののひとつ。なお以前の報告には、類似するキタウロコアリを区別していないものがあるので注意を要する。


分 布

本州,四国,対馬,九州,屋久島;中国,朝鮮半島,台湾,ハワイ?

文 献

  • Okamoto, H. (1953). Ants from Shikoku, Japan (2). . Gensei,, 2, 39-43. .
  • Masuko, K. (1984). Studies on the predatory biology of Oriental dacetine ants (Hymenoptera: Formicidae) I. Some Japanese species of Strumigenys, Pentastruma, and Epitritus, and a Malaysian Labidogenys, with special reference to hunting tactics in short-mandibulate forms. . Ins. Soc., 31, 429-451.
  • Masuko, K. (1985a. ). Hunting of Collembola by dacetine ants. . Insectarium, 22, 4-9. .
  • 寺西 暢 (1929) 日本産蟻類の習性と分布(二). 動物学会誌, 41: 312-332.

    追加引用文献:
  • アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
  • Brown, W. L., Jr. (1949) Revision of the ant tribe Dacetini. I. Fauna of Japan, China and Taiwan. Mushi, 20: 1-25.
    Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.
  • 日本蟻類研究会  編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
  • 日本蟻類研究会  編 (1992) 日本産アリ類の検索と解説(III)フタフシアリ亜科,ムカシアリ亜科(補追). 日本蟻類研究会, 東京.
  • Onoyama, K. (1976) A preliminary study on the ant fauna of Okinawa-Ken, with taxonomic notes (Japan; Hymenoptera: Formicidae). Pp. 121-141. In: Ikehara, S. (Ed.) Ecological studies of nature conservation of the Ryukyu Islands - (II). University of the Ryukyus, Naha, Okinawa.
  • 寺山 守 (1999) アリ科. Pp. 138-317. In: 山根 正気, 幾留 秀一 & 寺山 守 (編) 南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説. 北海道大学図書刊行会, 札幌.
  • 寺山 守 (2004) 日本産有剣膜翅類目録. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 2: 1-123.
  • 寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.
  • 矢野宗幹 (1910) 日本産蟻類に就きて. 動物学雑誌, 22: 416-425.
  • Yoshimura, M. & Onoyama, K. (2007) A new sibling species of the genus Strumigenys, with a redefinition of S. lewisi Cameron. Pp. 664-690. In: Snelling, R. R., Fisher, B. L. & Ward, P. S. (Eds.) Advances in ant systematics (Hymenoptera: Formicidae): homage to E. O. Wilson − 50 years of contributions. American Entomological Institute, Gainesville.
担当者

吉村正志(2008改訂)、小野山敬一・緒方一夫・寺山 守・吉村正志(〜2003)