family

アリ科

subfamily

フタフシアリ亜科

genus

アミメアリ属


ITIS

 

Pristomyrmex brevispinosus

Hymenoptera On-Line

 

Pristomyrmex brevispinosus

FORMIS

 

Pristomyrmex brevispinosus


English
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トゲムネアミメアリ

Pristomyrmex brevispinosus


学 名

Pristomyrmex brevispinosus

原著論文

Emery, C. (1887) Catalogo delle formiche esistenti nelle collezioni del Museo Civico di Genova. Parte terza. Formiche della regione Indo-Malese e dell’Australia (continuazione e fine). Annali del Museo Civico di Storia Naturale di Genova, 5: 427-473.

シノニム

トゲムネアミメアリ: 日本蟻類研究会, 1988.
Pristomyrmex brevispinosus sulcatus var. formosae Forel: 日本蟻類研究会, 1988.
Pristomyrmex brevispinosus sulcatus Emery: Ogata, 1991; 日本蟻類研究会, 1992; 寺山&木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998.
Pristomyrmex yaeyamensis Yamane & Terayama, 1999.
Pristomyrmex yaeyamensis : Terayama, 1999; アリ類データベース作成グループ, 2003a, 2003b; Japanese Ant Database Group 2003.

解 説

 体長2.5〜3 mm。体色は黄褐色から赤褐色。頭部は丸みを帯び,正面から見て後側縁は角をつくらず,後縁はほぼ直線状。頭盾は中央に縦の隆起線をもち,前縁の中央に3歯を備える。大あごの内縁は5歯をもち,先端の2歯は内側の3歯よりもより突出する。触角柄節はアミメアリよりも短く,頭部後縁を多少越える程度。前胸背は側方から見て平らで前縁は縁をつくる。また側縁中央付近に側方から見て上方を向く1対の突起をもつ。前伸腹節刺は短く,先端はほぼ上方を向き,前伸腹節の後端を越えない。腹柄節は側方から見て前縁は弱くへこみ,背縁から後縁にかけてゆるやかな弧をえがく。頭部と胸部背面に大点刻をもつが,中胸と前伸腹節の側面は平滑で光沢がある。腹柄節の柄部,後腹柄節,腹部も平滑である。
 巣の構成個体数は小さく,働きアリの数は20以下。日本の個体群の巣には通常の形態をした女王が存在せず,かわりに職蟻型の雌アリが数個体存在する (Onoyama, 1976; 寺山, 1999)。林内の倒木や石下に巣が見られる。台湾や中国南部の個体群では単雌性で通常の有翅の女王をもつ。国内では南西諸島の西表島にのみ生息する。
 日本のトゲムネアミメアリの学名は、日本産アリ類和名一覧(日本蟻類研究会, 1988)でこの種がPristomyrmex brevispinosus sulcatus var. formosaeとして掲載されて以来、幾度も変更されている。まずOgata(1991)では国際動物命名規約に照らして上記の学名が不的確名であることを理由に暫定的にP. brevispinosus sulcatus をトゲムネアミメアリに使用し、日本産アリ類の検索と解説(III)(日本蟻類研究会, 1992)や県別分布図(寺山守&木原章,1994)ではこの措置に従っている。この後にYamane & Terayama(1999)は日本のトゲムネアミメアリがP. brevispinosusP. sulcatusとは似てはいるものの、これらのタイプ標本を含む東南アジア産の標本と比較したところ日本のものとは明らかに異なるという理由で、日本の個体群をこれらとは独立した種、Pristomyrmex yaeyamensisとして記載した。ただし、このとき他種との具体的な形態的区別点は示されなかった。日本産アリ類画像データベース2003(アリ類データベース作成グループ, 2003a)や日本産アリ類の図鑑(アリ類データベース作成グループ,2003b; Japanese Ant Database Group, 2003)ではYamane & Terayama(1999)に従ってP. yaeyamensisを使用している。しかしWang(2003)は世界のアミメアリ属の分類学的な再整理を行ない、このなかでYamane & Terayama(1999)で示された日本個体群の持つ特徴「通常の形態をした女王が存在せず,かわりに職蟻型の雌アリが数個体存在する」は、P. brevispinosusのタイプシリーズに雌が含まれていないこともあり根拠としては不十分であるとして、P. yaeyamensisP. brevispinosusのシノニムとして扱った。ただしWang(2003)は本データベース1998年版(アリ類データベース作成グループ, 1998)の画像のみを検討して実際のP.yaeyamensisのタイプ標本は見ておらず、加えて彼自身、現在のP.brevispinosusが腹柄節の形態によって2種に分かれる可能性を示唆していることから、未だ日本のトゲムネアミメアリとP.brevispinosusとの同一性には検討の余地があるだろう。

分 布

西表島;台湾,中国,タイ,マレーシア,インドネシア.

文 献

  • Onoyama, K. (1976). A preliminary study of the ant fauna of Okinawa-Ken, with taxonomic notes. (Japan: Hymenoptera: Formicidae). . Ecol. Stud. Nat. Cons. Ryukyu Isl., 2, 121-141.

  • 寺山 守 (1999). アリ科. 南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説 (山根・幾留・寺山共著). 北海道大学図書刊行会 pp. 138-317.

  • Yamane, Sk. & M. Terayama (1999). A new species of the genus Pristomyrmex Mayr from Japan, and a proposal of a new synonym of species in the genus Camponotus Mayr (Hymenoptera; Formicidae). Memoirs of the Myrmecological Society of Japan 1: 17-24.

  • Myrmecological Society of Japan, Editorial Committee (ed.) (Ed.). (1988). A list of the ants of Japan with common Japanese names. The Myrmecological Society of Japan, Tokyo.

  • Ogata, K. (1991). A generic synopsis of the poneroid complex of the family Formicidae in Japan (Hymenoptera). Part II. Subfamily Myrmicinae. Bull. Inst. Trop. Agr., . Kyushu Univ., 14, 61-149.



    追加引用文献:

  • アリ類データベース作成グループ(1995)日本産アリ類画像データベース.日本蟻類研究会, 東京.

  • アリ類データベース作成グループ(1998)日本産アリ類画像データベース.日本蟻類研究会, 東京.

  • アリ類データベース作成グループ(2003a)日本産アリ類画像データベース 2003.アリ類データベース作成グループ, 仙台.

  • アリ類データベース作成グループ(2003b)日本産アリ類全種図鑑. 学研.

  • Japanese Ant Database Group(2003)Ants of Japan. Gakken.

  • 日本蟻類研究会編(1988)日本産アリ類和名一覧.

  • 日本蟻類研究会編(1992)日本産アリ類の検索と解説(III)フタフシアリ亜科,ムカシアリ亜科(補追).

  • 寺山守&木原章(1994)日本産アリ類県別分布図.日本蟻類研究会.

  • Wang M. (2003) A monographic revision of the ant genus Pristomyrmex (Hymenoptera: Formicidae). Bulletin of the Museum of Comparative Zoology, 157: 383-542.

担当者

吉村正志(2008改訂)寺山 守・小野山敬一・久保田政雄(〜2003)