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タカネムネボソアリ
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Leptothorax acervorum |
学 名
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Leptothorax acervorum
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原著論文
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Fabricius, J.C. (1793) Entomologia Systematica emendata et aucta. Secundum classes, ordines, genera, species adjectis synonimis, locis, observationibus, descriptionibus 2: 519 pp. Hafniae.
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シノニム
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Formica acervorum Fabricius, 1793.
Leptothorax acervorum : Mayr, 1855.
Leptothorax acervorum : 日本蟻類研究会, 1988, 1992; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003a, b; Japanese Ant Database Group, 2003; 寺山, 2004.
タカネムネボソアリ : 森下, 1945.
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解 説
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体長3〜3.5 mm。頭部,腹部は黒色,胸部,腹柄節,後腹柄節は赤褐色で,背面は黒褐色。脚は褐色。触角は11節からなる。触角柄節は短く頭部後縁に達しない。前胸,中胸の背縁は平ら。前伸腹節の背縁は弱く弧をえがく。前伸腹節刺は幅より長さが長く,先端は鈍い。腹柄節の丘部は高く3角形状。前縁は側方から見て急激に落ち込み,明瞭な柄部は認められない。
北海道では平野部でも見られるが,本州,四国,九州では山岳地帯に分布し,本州中部では標高1300〜2600 m付近に,四国石鎚山では1920〜1980 m地点に,九州久住山では1740m地点に生息する (園部, 1979)。単雌の他に多雌のコロニーが多く見られるが,そのようなコロニーでも,日本の個体群では卵巣を発達させ産卵を行なうのは1個体の雌アリである (Ito, 1991)。ヨーロッパでは本種に寄生するアリが3種いるが,日本ではそのような種は今までのところ発見されていない。
Bolton (2003)の措置により、日本で従来ムネボソアリ属Leptothoraxとされていた種のうち、本種以外はすべてTemnothorax属に移動された。これに伴って緒方ら(2005)は「ムネボソアリ属」という和名をTemnothoraxに対して使うこととし、新しいLeptothorax属には「タカネムネボソアリ属」という新たな和名を用いることを提案した。本改訂ではこの提案に従って本種の所属をタカネムネボソアリ属Leptothoraxとする。
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分 布
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北海道,本州山岳地帯,四国(石鎚山),九州(久住山);サハリン,朝鮮半島,ユーラシア,北アメリカ
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文 献
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- Sonobe, R. (1979). On six alpine ant species. . Insect (Kontyu-Aiko-Kai, Tochigi-ken), 30, 69-73. .
- Ito, F. (1991). Functional monogyny of Leptothorax acervorum in northern Japan. . Psyche, 97, 203-211.
- Entomologia Systematica emendata et aucta. Secundum classes, ordines, genera, species adjectis synonimis, locis, observationibus, descriptionibus 2: 519 pp. Hafniae.
- Formicina austriaca. Beschreibung der bisher im 嘖terreichischen Kaiserstaate aufgefundenen Ameisen nebst Hinzuf殀ung jener in Deutschland, in der Schweiz und in Italien vorkommenden Ameisen. Verhandlungen des Zoologisch-Botanischen Vereins in Wien 5: 273-478.
追加引用文献:
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アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
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アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台
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Bolton, B. (2003) Synopsis and classification of Formicidae. Memoirs of the American Entomological Institute: 1-370.
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Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo
- 日本蟻類研究会 編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
- 日本蟻類研究会 編 (1992) 日本産アリ類の検索と解説(III)フタフシアリ亜科,ムカシアリ亜科(補追). 日本蟻類研究会, 東京.
- 緒方 一夫, 久保田 政雄, 吉村 正志, 久保木 謙 & 細石 真吾 (2005) アリ類の分類体系 -ボルトンによる最近の変更より-. 蟻, 27: 13-24.
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寺山 守 (2004) 日本産有剣膜翅類目録. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 2: 1-123.
- 寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.
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担当者
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吉村正志(2008改訂)、寺山 守・小野山敬一・森下正明(〜2003)
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