ツシマハリアリ

学　名

Pachycondyla javana

Mayr, G. (1867) Adnotationes in monographiam formicidarum Indo-Neerlandicarum. Tijdschrift voor Entomologie (2) 2 [10]: 33-117.

Pachycondyla (Ectomomyrmex) japonica Emery, 1902)， Ectomomyrmex japonicus: Santsche, 1925， Ectomomyrmex javanus Mayr, 1867， Pachycondyla (Ectomomyrmex) javana: Emery, 1900， Pachycondyla (Ectomomyrmex) japonica Emery, 1902， Ectomomyrmex japonicus: Santsche, 1925， Pachycondyla (Ectomomyrmex) astuta cambodjana Forel, 1911， Ectomomyrmex denticeps Wheeler, 1929， Pachycondyla (Ectomomyrmex) horni Forel, 1913， Ectomomyrmex jananus race maternus Forel, 1900， Ectomomyrmex sundaicus Mayr, 1867，

体長7 mmの黒色のアリで，日本産ハリアリ類の中では比較的大形の種。頭部は側方が緩やかかな条刻を有し，腹部表面は滑らかで光沢がある。働きアリでは中胸側板の側面域が斜行する明瞭な溝により2分される。雄アリは前伸腹節背面に後胸背板より後方に走る一対の明瞭な隆起線をもつ。
林縁部の石下などに営巣し，しばしば林床の地上部を単独で徘徊するのが目撃される。刺針が発達しており，素手でつかむと刺されることもある。
本種は熱帯アジアに広範に分布し，日本では最初Emery (1902)により対馬からPachycondyla japonicaとして記載され，本州でも記録されているが（Wheeler, 1928），本州での分布はその後確認されておらず，疑問視される。また対馬では比較的普通に見られるが，北部九州本土からは見出されていない。
従来Ectomomyrmex属におかれていた。本種については分類学上の未解決の問題がある。
Yasumatsu（1962）は台湾から記載された E. sauteriも本種のシノニムとなる可能性を示唆している。また一方で本種が Pachydondyla astuta のシノニムとする意見もあり（Collingwood, 1976），本種をめぐる学名については再検討が必要とされる。寺山（1999）では、少なくともjavanaではないとの理由からPachycondyla sp.としているが、Pachycondylaは非常に大きなグループとなっている現在、日本産についてはむしろjavanaのまま保持し、分類学的な位置付けが明確になるまで学名の変更をまちたい。

九州（南部），対馬，南西諸島，小笠原諸島（母島）；中国，朝鮮半島，台湾，東南アジア