2003年英語版に ジャンプします。
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解 説
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体長10mm。体色はわずかに褐色をおびた黒色。大あご,脚は赤褐色。体表にややまばらな淡褐色の立毛がある。体表面の彫刻は平行に走る溝状の刻印で,この条溝は頭部では縦走し中央から前方では内側に湾曲,胸部と腹柄節では等高線状で,胸部のものは前方に傾斜,前胸の背部で横だ円状に閉塞し,腹部第1節のものは指紋状で後方に開く。腹柄節の刺状突起は斜上方を向く。雄アリも大形で,付節末端の爪には一対の歯状突起があり,腹部末端節背板はかぎ状の突起をもつ。
沖縄本島では石灰岩地帯に見られ,比較的日当りのよい林縁部の土中,木の空洞,石垣の間隙などに営巣されるという(福元, 1983)。1コロニーあたりの働きアリは20〜400個体で,条件が悪くなるとしばしば営巣場所を変えることも報告されている(Fukumoto & Abe, 1983; Abe & Uezu, 1977)。南西諸島のいくつかの島に局所的に分布する。
日本産の種は従来 D. rugosum, または D. rugosum geometricum var. anceps などと同定されてきた。しかし最近のインドやスンダランド方面での染色体の研究によって,本種群は形態的には微細な差異しか認められないのに主要地域や島嶼ごとに種分化のおこっていることが判明している。Wilson (1958b) は多くを D. rugosumのシノニム(同物異名)としているが,形態的な面からの観察だけで行った分類学的処置は再検討の必要がある。日本産のものは,形態的には“rugosum”に類似するが,染色体から比較は十分検討されておらず,インド・オーストラリア地域の他の個体群との関係は不明である。
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文 献
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- Fukumoto, Y. (1983). A new method for studying the successive change of the colony composition of the ant in the field. . Biol. Mag. Okinawa, 21, 27-31. .
- Fukumoto, Y. & T. Abe (1983). Social organization of colony movement in the tropical ponerine ant Diacamma rugosum (Le Guillou). . J. Ethol., 1, 101-108.
- Abe, T. & K. Uezu (1977). Biology of Diacamma rugosum (Le Guillou) in the Ryukyu Islands with special reference to foraging behaviour. Proc. 8th Inter. Congr. IUSSI, 142-143.
- Wilson, E. O. (1958b. ). Studies on the ant fauna of Melanesia. III. Rthytydoponera in Western Melanesia and the Moluccas. IV. The tribe Ponerini. . Bull. Mus. Comp. Zool. Harv., 119, 303-371.
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