ウメマツアリ

学　名

Vollenhovia emeryi

Wheeler, W.M. (1906) The ants of Japan. Bulletin of the American Museum of Natural History 22: 301-328.

体長2.5 mm。体色は赤褐色から暗褐色で腹部はより濃色。頭部の頭盾上部に黒褐色の大班をもつ。脚は黄褐色。頭部は長方形で頭幅/頭長は0.83。大あごに6〜7歯を備える。胸部は平らで，後胸溝は弱く刻みつけられる。前伸腹節後側縁には刺状の突起をもち，突起の先端は鋭く尖る。腹柄節下部突起は発達し，板状の半透明部の高さは約0.05 mm。頭部から後腹柄節までは鮫肌状で，脚及び腹部は平滑。頭部および胸部背面には多くの縦じわがある。
本種には，単女王制が大部分で女王が通常の発達した翅をもつ個体群と，多女王制で大部分の女王は翅が半分ほどに退化した個体群とが見られる。正常翅型のものは，平地から山地の林内の倒木や落枝中に巣が見られ，短翅型のものは平地の河原等に生息し，朽ち木中に営巣する。これら２つの個体群は別種である可能性をもつと同時に，久保田 (1984) が言うように遺伝的多型である可能性も十分考えられる。ここでは一つの種として取り扱い，今後の様々な角度からの詳細な検討を待ちたい。どちらの個体群も新女王と雄アリは巣中で冬を越すが，ヤドリウメマツアリは主に短翅型の巣に寄生するようである。
北海道から屋久島まで分布し，台湾からも記録があるが，台湾での本種の分布には疑問がある。

北海道，本州，四国，九州，屋久島，口永良部島