family

アリ科

subfamily

ハリアリ亜科

genus

アギトアリ属


ITIS

 

Odontomachus monticola

Hymenoptera On-Line

 

Odontomachus monticola

FORMIS

 

Odontomachus monticola

Harvard MCZ

 

Odontomachus monticola pauperculus Wheeler, 1921


English
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アギトアリ

Odontomachus monticola


学 名

Odontomachus monticola

原著論文

Emery, C. (1892 ("1891")) Voyage de M. Ch. Alluaud dans le territoire d'Assinie (Afrique occidentale) en juillet et aoùt 1886. Formicides. Annales de la Société Entomologique de France, 60: 553-574.

 

シノニム

Odontomachus monticola Emery, 1892.
Odontomachus monticola (またはその一部): Yasumatsu, 1962; 日本蟻類研究会, 1988, 1989; 寺山 & 木原, 1994; アリ類データベース作成グループ, 1995, 1998, 2003b, a; 寺山, 1999, 2004; Japanese Ant Database Group, 2003; 寺山& 北出, 2005; Yoshimura et al., 2007.
アギトアリ : 安松, 1965?
ノコギリハリアリ(の一部、台湾分布のもの) : 矢野宗幹, 1932.
Odontomachus monticola formosae : 野村, 1935; 武谷直 & 平嶋義宏, 1953.
クロイワアギトアリ : 武谷直 & 平嶋義宏, 1953.

解 説

  体長10〜13 mm前後の大型種。体色は黒褐色から暗褐色。大あごには先端 に 3つの大きい歯を備えているが,そのうち最基方の1歯(亜先端歯)は先端が角ばっており,その長さは幅の約1.5倍。ただ、左右の大あごを勢いよく閉じる際にぶつかる部分でもあるため、摩耗が激しいこともある。頭部と胸部背面は細かいしわによって密におおわれる。
 アギトアリ属Odontomachus ではオキナワアギトアリO. kuroiwae の記録の方が早いうえ、当時アギトアリとオキナワアギトアリとを区別していなかったことから、この種の日本初記録が果たしていつだったかは判断がしにくいところである。おそらくは、野村(1935)がノコギリハリアリOdontomachus monticola formosaeとして種子島から記録したものが最初だろう。その後も日本に分布する本属の種は1種であるとされ、Yasumatsu(1962)がO.m.formosaeO. monticola のシノニムとして統合してからは、日本に分布しているアギトアリ属はすべてアギトアリOdontomachus monticolaとして扱われた。
 1999年になり、森下 (1987)の見解を受けて寺山氏がアギトアリからオキナワアギトアリを分離し(寺山, 1999)、それ以降は九州から口之永良部島にかけて分布するものをアギトアリO. monticolaとして扱っている。
 Yoshimuraら(2007)は日本産のアギトアリ属の分類学的な再検討を行ない、日本のアギトアリOdontomachus monticolaが、ミャンマーで採られたO. monticolaのタイプ標本とは大きく形態が異なっていることを明らかにしている。また、中国を中心に、インドから日本にかけて分布するO. monticolaが、前胸背面の彫刻で2つのパターンに分かれることを示し、現在のO. monticolaが未だ複数の種を含んでいる可能性を示唆している。
  屋久島では平地より標高1,200 mの高所にいたるまで分布している。 中国では北方でも北京より更に北の,北緯40゜を越える地域においても見出されている(寺西, 1936:ただし寺西のこの報告では本種を誤って O. haematda)と同定している(Yasumatsu, 1962) 。日本国内では2005年に、寺山氏と北出氏により北九州市門司区からの分布記録が報告されている(寺山 & 北出, 2005)。
 石下や倒木下に営巣する。逃避に際して,後方に跳ねる習性がある。


分 布

九州(鹿児島県),屋久島,種子島,口永良部島;中国,台湾,東南アジア,ミャンマー,インド

文 献
  • Teranishi, C. (1936). Insects of Jehol (VII), Family Formicidae. . Rep. 1st Sci. Exp. to Manchoukuo (5)Part 11Article 60, 1-12, .
  • Yasumatsu, K. (1962). Notes on synonymies of five ants widely spread in the Orient. . Mushi, 36, 93-97.



    追加引用文献:
  • アリ類データベース作成グループ (1995) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (1998) 日本産アリ類画像データベース. 日本蟻類研究会, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (2003a) 日本産アリ類全種図鑑. 学研, 東京.
  • アリ類データベース作成グループ (2003b) 日本産アリ類画像データベース. アリ類データベース作成グループ, 仙台.
  • Japanese Ant Database Group (2003) Ants of Japan. GAKKEN, Tokyo.
  • 日本蟻類研究会  編 (1988) 日本産アリ類和名一覧. 日本蟻類研究会, 東京.
  • 日本蟻類研究会  編 (1989) 日本産アリ類の検索と解説(I)ハリアリ亜科,クビレハリアリ亜科,クシフタフシアリ亜科,サスライアリ亜科,ムカシアリ亜科. 日本蟻類研究会, 東京.
  • 森下正明 (1987) 日本産Odontomachus の謎(in 蟻類研究会第29会例会講演要旨). 蟻, 15: 4.
  • 野村 健一 (1935) ノコギリハリアリ種子島に産す. むし, 8: 58.
  • 武谷直 & 平嶋義宏 (1953) 屋久島に虫を追う. 新昆虫, 6: 20-23.
  • 寺山 守 (1999) アリ科. Pp. 138-317. In: 山根 正気, 幾留 秀一 & 寺山 守 (編) 南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説. 北海道大学図書刊行会, 札幌.
  • 寺山 守 (2004) 日本産有剣膜翅類目録. Memoirs of the Myrmecological Society of Japan, 2: 1-123.
  • 寺山 守 & 北出 理 (2005) アギトアリの北九州からの記録. 蟻, 27: 9.
  • 寺山 守 & 木原 章 (1994) 日本産アリ類県別分布図. 日本蟻類研究会, 東京.
  • 矢野宗幹 (1932) 膜翅目蟻科. Pp. 328-340. In: 内田清之助ら (編) 日本昆虫図鑑. 北隆館, 東京.
  • Yoshimura, M., Onoyama, K. & Ogata, K. (2007) The Ants of the Genus Odontomachus (Insecta: Hymenoptera: Formicidae) in Japan. Species Diversity, 12: 89-112.
担当者

吉村正志(2008改訂)、森下正明・小野山敬一・吉村正志(〜2003)