Q20-2-2:私どもは、イタリアより、オリーブオイルを輸入し販売しています。そこでご相談なんですが。お客様から販売したオリーブオイルに蟻が大量に入っていたと言われました。缶に入っている物で開封して何時間かたってから気がついて最後に使いきる時に蟻がたくさん出てきたということです。イタリアのメーカーに連絡はしたのですが結果がなっとくできるもので無いんですが!そこで、この蟻が日本にしかいない蟻なのか、イタリアしかいない蟻なのかわかればと。もしくは、オリーブオイルの成分は、蟻が好む成分が含まれているんですか?どこで調べたら良いのでしょうか?
A20-2-2:お問いあわせのオリーブオイルに混入したアリの同定結果は次のようになりました。「混入していたアリは,日本産のトビイロシワアリ*(Tetramorium tsushimae)です。イタリアにも近縁種のTetramorium caespitumという種が生息しますが,日本産の種より小形です。従って,本件のアリは,日本国内で混入したものと思われます。トビイロシワアリは,雑食性で油類にも誘引されます。数年前,横浜で東南アジアから輸入したパーム・オイルに集まっていた例があります。以上の事から考えますと,レストランでオリーブオイルの缶を開けた際,フタを閉め忘れたか、あるいは十分にフタを閉めておかなかったために侵入されたと思われます。」このアリは病原菌を持ち歩くことはありませんので、混入したからと言って人体に別状はありませんが、飲食店という職業柄衛生には気をつける必要があります。
*従来日本のトビイロシワアリはヨーロッパ産の種と同一と考えられていました。このため,95, 98年度版日本産アリ類画像データベースの日本語版ではTetramorium caespitumと言う学名をつけていましたが,その後日本も含めて北東アジア産のトビイロシワアリは,生態や形がヨーロッパ産の種と異なることがわかり,現在はトビイロシワアリ(Tetramorium tsushimae)に改名されました。トビイロシワアリの画像については,下記のURLをご覧ください。
ただし、本州にいるトビイロシワアリはT. tsushimaeとは明らかにことなるので、将来種名が変更になる可能性があります。
久保田政雄、今井弘民