「アリ」の食べ物 |
アブラムシをくわえて運ぶアミメアリ
(写真=栗林 慧/ネイチャー・プロダクション)
大部分の「アリ」は雑食性です。植物の蜜や動物の体液を吸ったり、肉を外口腔で消化して吸っているのです。 ノコギリハリアリはジムカデの体液を吸い、 カドフシアリはササラダニを食べ、 ウロコアリ類はトビムシを、 カギバラハリアリ類はムカデやクモの卵を専門に利用しています。これらのアリは林床の落葉の下に住んでいて、小形で動物食という共通点があります。 ヒメキイロケアリは木の根に沿って巣をつくり、ネアブラムシを飼って甘露をもっらっています。 クロナガアリはイネ科やタデ科の草の実を貯蔵しておいて、皮をむいて、だ液で柔らかくして噛ります。したがって植物食とか動物食とか決めることはあまり本質的ではありません。まとめて言えることは、日常の活動エネルギーとしては炭水化物を消費し、子孫を育てるためには蛋白質やアミノ酸を摂取するということです。 クロヤマアリで調べたところ、そのう一杯のミツを自分だけで消費するのには10日程かかりました。毎日せっせと働いているのは、巣内にいる8割のハタラキアリと幼虫のための餌補給なのです。幼虫が成虫になり消費量が減ると、体内に脂肪が溜まりはじめます。十分脂肪体が発達すれば五か月以上も絶食で生きていけるのです。だから冬のために動物餌を保存する必要はありません。動物餌を保存する能力を持ち合わせていないのです。
図5 ハタラキアリの体内構造
部分は脂肪体
(フォーレルのクシケアリの図より一部改変)