属解説

クロナガアリ属 Messor

フタフシアリ亜科/オオズアリ族


 働きアリの体長3.5〜12mmの中・大型のアリ。アシナガアリ属に極めて似ており,区別が困難な場合があるが,頭部が幅広いこと,大あごの外縁が強く曲がること,頭部下面に長い毛があることで区別する。働きアリにはほとんどの種で顕著な多型が見られる。大型のものは頭部の幅が相対的に広くなる。大あごは大きく強力で,そしゃく縁には多くの歯を備えるがすりへっていることも多い。複眼は中くらいの大きさで,頭部側面中央付近に位置する。触角は12節で,こん棒部を形成しない。額葉は短いが顕著で,触角挿入部の少なくとも一部を隠す。額隆起縁は短く,触角挿入部の後方にはほとんど伸びない。触角収容溝を欠く。頭部下面に長い毛がある。前・中胸は側面から見て盛り上がる。前中胸縫合線がある。後胸溝は弱くあるいは多少とも深く刻印される。前伸腹節は前・中胸よりも低く,後方で丸いかまれに一対の刺がある。後胸葉はないかせいぜい低く丸い隆起になる程度。腹柄節は前方に細長い柄部をもつ。腹柄下部突起はない。中脚と後脚の脛節刺は2本で単純か,弱くあるいは部分的に櫛状。PFは 4,3または 5,3。

 世界に約90種が知られるが,多くはユーラシアに分布し,熱帯アフリカに12種,マダガスカルに1種が分布する。最近 Veromessor が,Messor のシノニムとされた(Bolton,1982)ので,北アメリカ西部にも8種を産することになった。草地や道端の開けた場所に営巣し,巣口は地表に直接開き,クレーター状のマウンドになっていることがある。本属の種は,種子を主な餌として巣に運ぶ収穫アリとして知られる。

 日本にはクロナガアリ1種だけが分布する。この種は単型で,また頭部下面の長毛は発達しない点で特異的である。

解説者:小野山敬一


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