Q20-2-3:突然変なメールを出してすみません。ちょっと教えていただきたいことがありますので、ご迷惑でなければよろしくお願いします。
郊外住宅街にある築20年の木造家屋ですが、1階の窓の上部に外からアリが巣を作っているようです。種類を調べるとシリアゲアリの1種で、テラニシ型かハシブト型だと思うのですが、このように、シロアリでもないアリが巣を作ることはあるのでしょうか?
気がついたきっかけは下に木材の切りくずのようなものが落ちていることに気がついたからです。窓の上のさしかけの木の上にはたくさんの切りくずのようなものが落ちていました。
A20-2-3:アリの標本を受け取りました。
同定の結果,問題のアリはハリブトシリアゲアリ (Crematogaster matsumurai)
でした。詳細は下記のURLをご覧ください。
http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/Taxo_J/F42102.html
このアリは,通常樹木腐朽部に営巣します。シロアリのように生木を食害することはありませんが,朽木や腐食して脆くなった木材に侵入して営巣する性質があります。2x4の合板でできた家だそうですので,多分合板が雨などで腐食して脆くなった所にこのアリが営巣をはじめたものと思います。木材の切りくずが落ちているのは,巣を作るために運び出した木くずだと思います。
このままにしておくとさらに巣が拡大して被害が広範囲におよびますので,早急に窓の上部の合板部を開けて巣を確認し傷んだ構造材を除去するか,殺虫剤をスプレーして巣を全滅させてください。通常のスプレーでは木部の内部までは薬剤が浸透しないので細いノズルのついたタイプの殺虫剤を巣穴に差し込んで噴霧するのが効果的かと思います。久保田政雄、今井弘民