属解説

アメイロアリ属 Paratrechina

ヤマアリ亜科/ケアリ族


 働きアリの体長は1.5〜3.5mm。複眼の大きさは中程度で,頭部の中央よりも前方に位置する。単眼はふつう無いか不明瞭。触角は12節。頭盾後縁近くのくぼみから生え,柄節は頭長より長い。12節。大あごはそしゃく縁に5または6歯を備える。小あごと下唇のひげは長く,小あごひげは6節で,下唇ひげは4節。雄アリの外部生殖器は大きく,尾毛を欠く。Agosti & Bolton (1990a)はアメイロアリ属の特徴として後脚脛節の背面,前面および後面上にprojecting hair(突出する毛)があることを新しくあげた。アメイロアリとヒゲナガアメイロアリではそのような毛があるが,サクラアリとヒヨワアメイロアリでは軟毛は豊富だが突出する毛と呼べる毛はない。

 枯枝,腐倒木,腐切株,土中に営巣し,樹上や草上,また落葉層で活動する。花蜜などを餌とする。

 全世界に広く分布し,約90種が記載されている。アメリカ合州国のものはTrager(1984)によって整理されたが,アジアでの分類は未整理である。日本のものも分類そのものが難しく,記載種の正体も不明である。特に南西諸島にはアメイロアリに類似する種が2,3種生息するので注意が必要である。ここでは3種の学名決定種と未決定の1種をあげる。

解説者:小野山敬一・森下 正明


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