本属はカイガラムシの Rhizoecinae亜科,特にEumyrmococcus, Xenococcus, Chavesia 属の種と強い栄養共生の関係を結んでいる。これまでに知られている限りでは,もっぱらこれらのカイガラムシが出す分泌物を主要な食物としているようで,地上にはほとんど姿を現さない。またカイガラムシの方もアリの巣内でアリに保護され,巣中に張り出した植物の根から栄養分を吸収している。
世界の温帯から熱帯にかけて約45種が記録され,Acropyga亜属, マルバアリ(Atopodon)亜属, ミツバアリ(Rhizomyrma)亜属, Malacomyrma亜属の4亜属に区分されている。Acropyga亜属は触角が11節で大あごに5歯を備え,ほぼ等間隔に配列し,いずれも先端は尖る。マルバアリ(Atopodon)亜属も触角は11節で大あごの歯は5歯であるが,基部のものが他の歯とは多少とも離れ,先端は平らになっている。ミツバアリ(Rhizomyrma)亜属は触角が8から11節で大あごの歯は3もしくは4歯である。Malacomyrma亜属は触角が11節で末端節は顕著に長いcただしこれらの亜属を認めるかどうかは今後の問題として残されている。
日本産の種はマルバアリ亜属とミツバアリ亜属に属し,本州南岸以南に分布する。イツツバアリ,ミツバアリ,未記載種のヨツバアリの合計3種が知られている。なお,日本産の種とこれと共生するカイガラムシについては寺山(1988)の総説がある。
解説者:寺山 守・久保田政雄