属解説

ウロコアリ属 Strumigenys

フタフシアリ亜科/ウロコアリ族


 働きアリは体長1.5〜3.5mmの小型のアリ。大あごは細長い棒軸状で,先端部は多少とも垂直に位置する2個の針状の歯がフォーク様に2叉に配列する。背面の方の歯が最も長い。2個の針状の歯の間にはいくつかの歯が並ぶことがある。亜先端部(先端部から少し基部寄りの内縁部分)にはふつう1個か2個の歯があるが,ない場合もある。上唇は逆T字状で末端は伸長しない。頭盾は平たく大あご挿入部の上へ張り出す。PFは1,1。複眼は触角収容溝の下縁に位置する。触角は6節で,べん節の第2節と第3節は細く短い。前伸腹節には1対の歯または針と薄板あるいはどちらかを備える。腹柄にはふつう海綿状の付属物をそなえる。しばしば特殊な体毛をもつ。

 ウロコアリ属はウロコアリ族(tribe Dacetini)という27属からなる比較的まとまったグループの一員で,この族は4もしくは6節からなる触角,よく発達する触角収容溝とその腹面側に位置する複眼,腹柄節と後腹柄節に多少とも発達する海綿状付属物などによって特徴づけられる。日本産フタフシアリ亜科29属中未記載と思われるものを含め8属(ウロコアリ属 Strumigenys,ヨフシウロコアリ属 Quadristruma,ノコバウロコアリ属 Smithistruma,ヒラタウロコアリ属 Pentastruma,トカラウロコアリ属 Trichoscapa,キバオレウロコアリ属[未記載],ヌカウロコアリ属 Kyidris,セダカウロコアリ属 Epitritus)はこのウロコアリ族に属する。

 ウロコアリ属は旧北区を除いて世界に広く分布し,約160種が記載されている。多くはエチオピア区,インド・オーストラリア区,新熱帯区から記載されているが(Bolton,1983),調査が進めば東洋区からも多くの種類が発見されるだろう。本属はトビムシ類などを餌とし,大あごと上唇の独特の形態は狩り方と密接に関係している(Masuko,1984)。働きアリをもたない社会寄生性の種が2種知られている(Brown,1955;Taylor,1968a)。

 「和名一覧」では7種を区別していたが,それ以後ヒメウロコアリS. sp. 7 としていた種が Terayama & Kubota(1989)によって新種として記載され,また学名未詳種ではあるが今回新たにハカケウロコアリとミナミウロコアリを追加する。この結果,本書では既記載種3種,学名未詳種6種の計9種を取り扱う。日本産のものはハカケウロコアリ以外はすべて,亜先端部に1個の歯をもつ。

解説者:小野山敬一・緒方 一夫・寺山 守


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