ウロコアリ属はウロコアリ族(tribe Dacetini)という27属からなる比較的まとまったグループの一員で,この族は4もしくは6節からなる触角,よく発達する触角収容溝とその腹面側に位置する複眼,腹柄節と後腹柄節に多少とも発達する海綿状付属物などによって特徴づけられる。日本産フタフシアリ亜科29属中未記載と思われるものを含め8属(ウロコアリ属 Strumigenys,ヨフシウロコアリ属 Quadristruma,ノコバウロコアリ属 Smithistruma,ヒラタウロコアリ属 Pentastruma,トカラウロコアリ属 Trichoscapa,キバオレウロコアリ属[未記載],ヌカウロコアリ属 Kyidris,セダカウロコアリ属 Epitritus)はこのウロコアリ族に属する。
ウロコアリ属は旧北区を除いて世界に広く分布し,約160種が記載されている。多くはエチオピア区,インド・オーストラリア区,新熱帯区から記載されているが(Bolton,1983),調査が進めば東洋区からも多くの種類が発見されるだろう。本属はトビムシ類などを餌とし,大あごと上唇の独特の形態は狩り方と密接に関係している(Masuko,1984)。働きアリをもたない社会寄生性の種が2種知られている(Brown,1955;Taylor,1968a)。
「和名一覧」では7種を区別していたが,それ以後ヒメウロコアリS. sp. 7 としていた種が Terayama & Kubota(1989)によって新種として記載され,また学名未詳種ではあるが今回新たにハカケウロコアリとミナミウロコアリを追加する。この結果,本書では既記載種3種,学名未詳種6種の計9種を取り扱う。日本産のものはハカケウロコアリ以外はすべて,亜先端部に1個の歯をもつ。
解説者:小野山敬一・緒方 一夫・寺山 守