属解説

トフシアリ属 Solenopsis

フタフシアリ亜科/トフシアリ族


 体長1mm程度の小型種から9mmの中型種を含み,働きアリが単型のものから多型のものまである。触角は10節からなり,先端の2節はこん棒部を形成する。複眼は小から中程度の大きさ。大あごには 4または5歯を備える。PFは1,2か2,2。頭盾に1対の発達した縦に走る隆起縁をもつ。また前縁中央に 1 本の剛毛がある。胸部背面は側方から見て平ら。後胸溝は明瞭。前伸腹節は側方から見て丸みを帯び,刺状突起をもたない。腹柄節は柄節をもち,丘部は比較的高い。腹柄節下部突起をもつ。

 Baroni-Urbani(1968)は主に雄交尾器の形態から Solenopsis 属とDiplorhoptrum 属を区別したが,Bolton(1987)はこれらをまとめて 1 つの属として取り扱っている。世界の熱帯から亜寒帯まで広く分布し,約270種が記載されている。農業害虫として非常に有名なカミアリ(fire ants)は本属のアリで,北米では S. invicta,geminata,saevissima,xyloni などが侵入あるいは分布を拡大し,農作物や家畜に莫大な被害をもたらしている。これらの種に刺されると,アルカロイド系の毒によって非常に激しい痛みを覚え,さらに毒に対してアレルギー反応を引き起こす例が,北米だけでも年間で1500件近く起こっていることから,衛生害虫としても問題視されている(Thompson,1990)。 S. fugax では他のアリに隣接して営巣し,巣をそのアリの抗道につなげ,そこからそのアリの巣に出入りし盗みを行なうことが知られている。

 日本からは3種が記録されているが,アカカミアリS. geminata は人為的に侵入した種で,沖縄本島で一時繁殖が確認されたが,現在の分布状況は不明である。

解説者:寺山 守


Copyright 1995 by アリ類データベース作成グループ