属解説

イバリアリ属 Strongylognathus

フタフシアリ亜科/シワアリ族


 体長2.5〜4mmの黄から黄褐色のアリ。大あごは顕著な鎌状で,先端は鋭く尖る。またそしゃく縁には通常歯をもたず,もつ場合でも小さな歯が先端付近に見られる程度。触角は12節からなり,先端の3節はこん棒部を形成する。触角挿入部の前方には顕著な隆起縁がある。PFは4,3。側方から見て,胸部背縁は前胸から中胸にかけてほぼ水平。後胸溝は比較的顕著で,前伸腹節の後側縁には通常小さな突起をもつ。

 旧北区に24種が分布し(Pisarski,1966Baroni Urbani,1969Bolton,1976Radchenko,1985),testaceus 種群とhuberi 種群とに大別される。本属はシワアリ属 Tetramorium に類似するが,全ての種がサムライアリと同様の鎌状の大あごをもつことでシワアリ属の種と容易に区別される。また本属の各種はトビイロシワアリ Tetramorium caespitum あるいは T. jacoti に社会寄生を行なうことが知られている。寄生様式は奴隷制から恒久的社会寄生に近いものまで見られ,働きアリは探餌や幼虫の世話などを行なわず,奴隷種によってそれらが行なわれる。また S. testaceusでは恒久的社会寄生により近づいた様式をとる。つまり雌アリがトビイロシワアリの巣に侵入しても,巣中のトビイロシワアリの女王を殺さず巣中で共に生活する。

 日本にはイバリアリ1 種のみが分布する。

解説者:寺山 守


Copyright 1995 by アリ類データベース作成グループ