世界に広く分布し,約400種が記載されている大きな属である。多くは温暖な地域に生息するが,分類はあまり整理されていない。北アメリカのシリアゲアリ属については Buren(1958,1968)による研究がある。樹上に絹の巣をつくったり,植物組織内や竹茎内,石下や土中に営巣する。敵に対して,腹部を前上方に持ち上げて化学的防御物質を放出する習性がある。
日本産のシリアゲアリ属の分類はかなり混乱していた。Santschi(1930)の分類は亜種や変種の取り扱いを除いて正確である(Onoyama,1976)。日本に産するものとして,「和名一覧」と同じく,本書ではシリアゲアリ亜属の5種(学名決定種4種,未詳種1種)とキイロシリアゲアリ亜属の2種(学名決定種1種,未詳種1種)の計7種をあげた。
解説者:小野山敬一・森下 正明