属解説

ヤマアリ属 Formica

ヤマアリ亜科/ヤマアリ族


 アカヤマアリ(Raptiformica)亜属。頭盾前縁部が明瞭にくぼみ,雄アリの大あごのそしゃく縁に5〜6歯をもつ(他の亜属ではより少数の歯をもつ)。また,雌アリの胸部が狭いことが特徴である。奴隷狩りをする。旧北区に2種,新北区に約10種が知られる。

 ツノアカヤマアリ(Coptoformica)亜属。頭部後縁中央部が深く湾入し,小あごひげが短くなる傾向がある。雌アリ前胸の前面と背面の間は強く角ばり,また体が著しく小型化する傾向がある。旧北区に15種が記録されている。なお,新北区のexsectoidesの仲間は本亜属とは別系統のものらしい。

 ヤマアリ(Formica)亜属。体色は少なくとも一部は強く赤味を帯び,二色性を示す。額域は光沢がある。また次のクロヤマアリ亜属と比べて,職きアリは一般により頑丈な体型をしているが,雌アリはむしろ小型である。蟻塚をつくるものが多く,北欧では wood ant の名で森林の害虫駆除に利用している。営巣は一般に分巣方式である。旧北区に約7種,新北区に約16種が知られる。

 クロヤマアリ(Serviformica)亜属。体色は単色ないし二色型であるが,日本産のものは全て単色型。額域の光沢はふつう鈍い(ツヤクロヤマアリでは光沢あり)。体はヤマアリ亜属とくらべると一般に華奢である。独立営巣型である。染色体数は他亜属のものは2n=52であるが,本亜属の大部分のものは2n=54である(ただしツヤクロヤマアリは2n=52)。旧北区産約21種,新北区産約33種で,ヤマアリ属中最大のグループである。

解説者:園部 力雄・小野山敬一


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